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WLB推進企業を取材!大学生が「自分自身のこれからの働き方・生き方」を考える(『大学生の視点』からワークライフバランス推進に取り組む企業を取材!)
2009/02/18
はじめに
働き方や生き方についての選択肢がさまざまに増えている。
そんな中で、「自分がどんな人生を生きたいのか、そのためには生活と仕事のバランスをどのように取っていけばいいのか」これらを明確にし、実行することは現役の社会人にとってもなかなか難しい問題です。
まして、これから社会に出て行こうとしている大学生には、将来の不透明さという要因まで加わります。この問題を解決するための指標の一つとして企業をどのような視点で見て、選ぶかということがとても重要になります。
そこで、子育て応援とうきょう会議では、法政大学キャリアデザイン学部の協力のもと、これから社会に出て行こうとしている大学生に、仕事と生活のバランス(ワークライフバランス WLB)に取り組む企業を訪ね、実際に企業やそこに勤める社員の皆さんが「仕事と生活のバランスを取る」ことについてどのように考え、行動しているかを調査してもらうことにしました。
企業訪問をしたのは、法政大学キャリアデザイン学部の武石恵美子ゼミに所属する3年生12名です。訪れた企業は東京都内の大企業や中小企業11社。彼らは、「なぜ企業はWLBに取り組むのか?」、「WLBを人事戦略の中でどう位置づけているのか?」、「どのような施策や制度を展開しているのか?」、「そのような施策に取り組んだ効果は?」、そして「現在どのような課題があるのか、今後の展開の方向は?」という問題意識を共有した後、数名ごとのグループに分かれて企業のWLBへの取り組み調査に当たりました。
株式会社妙徳への取材
今回の調査対象企業の一つが株式会社妙徳です。
株式会社妙徳は、大田区にある従業員数160名、空気圧を利用した部品や機器を製造販売している会社です。
▲東京本社内を案内されるキャリアデザイン学部の二人(左)福田さん(右)桑野さん。
同社を訪れたのは、武石ゼミの福田真央さんと桑野惇さん。同社が取り組む「有給休暇5日間連続取得」などの制度や社内で進められてきた改革の内容を聞きました。
同社がそもそも、このような取り組みを始めたのは「だらだら働いても仕方がない。それより、1日の就業時間内に集中して働いて、仕事が終わったら自分の時間を自由に使う方が会社にとっても社員にとってもいいんじゃないか」という社長の発想からだったそうです。それを実行するために行った、
・残業代がなくても収入が変わらないように給与体系を変更
・時間内に集中して効率的に仕事ができるように社内の5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を徹底
・「必要な経費は惜しまずに投資する」とのトップ判断で社内IT化投資
などの話を聞きました。
一方、社員の方からは
・就業中の仕事への集中力がアップしている
・終業後の自分の自由に使える時間が増えている
・お互い様の意識やチームワークが高まった
などを実感しているというお話がありました。
経営的には取り組みを始めてから5年半の間、増益を続けていること、同時に社員間の情報の共有化やワークシェア、多能工化が進んでいることなど、経営者も社員も改革の成果を実感しているようです。
説明を受けて、福田さんと桑野さんは「このような社内改革を進めるにはトップの意識が変わることから始まるのか、ボトムアップではないのか」、「社長の考えを社員全体に周知させるためにどうしたのか」、「今後の課題にはどんな問題があるか」といった質問を投げかけ、「WLBありきではなく、取り組みを続けたら結果としてWLBになっていた」という同社のWLBに対するスタンスや、「とにかく何を目指して、何をしたいのか、トップの理念や意識を言い続けるしかない」、「やはりトップダウンでないとこのような社内改革を推し進めることは難しい」、「まだまだ取り組みは十分とは言えないし、景況も悪化しているが、ここだけはやりたいという取り組みは変わらずに進めていく」といったWLB推進の意気込みなどを聞き出していました。

▲真剣な表情で、WLBへの取り組みを聞く(左)福田さんと(右)桑野さん。
小さい企業は情報が少ない。中小企業のWLBの取り組みをもっと公表すべき
「これまでにも、いろいろな人に会って、その人の働き方や生き方を学んできた」と言う福田さんと桑野さんは、就職活動を始めたばかりで、具体的な方向性や企業の絞り込みはまだまだこれからです。そのせいか、「大手だと大きなプロジェクトとかに関われそう」(桑野さん)、「女性の場合、結婚や出産後も働き続けたい人には、大企業だと子育て支援とか育児に関する制度、サポートが会社として整っていると思うので安心な気がする」(福田さん)のように、現時点ではどうしても就職したいと思う会社は大企業になるようです。
このような大企業志向の背景には企業の側の情報発信にも問題がありそうです。「規模がそれほど大きくない企業だと、情報が少なすぎて僕たち学生はほとんど知る機会がない」と桑野さん。福田さんも「自分の知らない企業に出会えるかも」と企業合同セミナーなどに積極的に参加しているそうですが、「どこも同じようなことしか言わないから、結局、知らない企業を知る機会にはならない」と指摘します。
それだけに、「今回の株式会社妙徳のように実際に会社を訪ねて、社長や社員の皆さんからお話を伺えると、その会社そのものがよく分かると思った」と、企業は規模の大小だけで選ぶものではないと実感した様子です。
WLBを進めるには、トップダウンはもちろん、ボトムアップも必要
株式会社妙徳の他にもWLBに実際に取り組んでいる企業を訪問して、その考え方や具体的な取り組みを取材してきた福田さん、桑野さんは、それらを通じて、WLBなど会社の仕組みや組織を大きく変えるような取り組みの進め方には、社長の強いリーダーシップで進める「トップダウン」と社員全体で考えながら進めていく「ボトムアップ」のやり方があると解ったことが強く印象に残ったそうです。
「どちらのやり方が正解ということはない」としながらも、「会社は人だと思うので、社員全体で取り組む考え方のほうが(WLBへ向けた制度など)何かを会社で進める時に社員のモチベーションにも繋げやすいと思う」(福田さん)、「極端かも知れないけれど、社員たちに『こうしたい』と求める強い気持ちや統一した意思があれば、ボトムアップで社長(の考え方)を変えることもできるんじゃないかなと思う」(桑野さん)。「ボトムアップ」に魅力を感じている様子の二人ですが、トップダウンでも、ただ命令するのではなく、「取り組むことでこういうメリットもある」と社員に理解してもらう努力を続ける。そういうコミュニケーションが大切だということも取材から感じ取ったようでした。
どんな思いで働きたいかという視点での企業選びも大切
WLBに取り組む企業の取材を通じて、「働くことと生活すること」についてもいろいろ考えさせられたようです。
「就職活動というのは、実は、社会での自分の役割を見つけることなのではないか」。そう感じていると言う福田さんは、「だから、これから社会へ出て行動する時に、『できるか』『できないか』ではなく、『やるか』『やらないか』と考えて、『やる』と自分で判断して実行したい」と考えているそうです。女性がますます社会で活躍すると考えている桑野さんは、「育児を通して、生活や生活者を知ることも人生の勉強のひとつだと思うので、男性として自分も育児など生活に関わることに積極的に参加していきたい」と言います。
「私も結婚しても子どもを産んでも働き続けるつもり」と言う福田さんは「だからこそ、男の人も女の人も楽しく、仕事に誇りを持って働ける社会にしたい」、桑野さんも「僕も仕事にはやりがいや意義を求めたい」と希望を語ります。 「でも、仕事だけの人間にはなりたくない。仕事にやりがいを求めて、誇りを持って働くけれど、家族との時間を大切にしたいし、親孝行だってしたいよね」。
WLBを進める中堅企業に強い印象を受け、「自分たちが働くなら・・・」という自らの人生の設計に思いが広がった企業インタビュー調査となったようでした。
ワークライフバランスフェスタ東京2009で調査研究報告!
WLBに取り組む都内11社のインタビュー調査を終えた武石ゼミのメンバーは、その後、WLB全般についての議論の整理も行いながら、各社へのインタビュー調査についてもとりまとめ、その内容を2月18日の「ワークライフバランスフェスタ東京2009」において発表しました。
当日は、ゼミを代表して3名の学生が登壇、国や自治体などのWLBへの取り組みの全体的状況を整理したうえで、11社のインタビュー調査からの分析を「WLBについての経営的視点」「組織としての対応」「労働時間短縮の取り組み」「休暇制度」「仕事と家庭の両立支援策」「メンタルヘルスに関する施策」「職場の雰囲気づくり」など13項目にまとめあげ、報告しました。そして、彼らの調査研究の結びとして「WLBは社会に浸透しつつある」という一つの結論を引き出していました。その理由は、WLBに取り組むことは企業経営にとっても意義があると認められてきているからだそうです。たとえば長時間労働縮減。その取り組みは各社各様ながら、各社とも共通して「働き方の見直し」に繋げていることが把握できたとのこと。また、休暇制度の導入は社員の多能工化を進めると同時に、社員一人ひとりのモチベーションアップにもなっているとしています。このようにWLBは、企業経営だけでなく、そこで働く人々にとってもプラス効果をもたらしており、各社ともそういう職場のムードづくりを時間をかけて行ってきていると発表しました。
そして最後に「“不況期でも(WLBの)取り組みを進める”という経営者の言葉は印象的でした。このようにWLBに積極的に取り組む企業は学生から見て働きやすく、また働きがいのある企業だと思いました。それと共に、働く人の責任の重要性も感じました」と報告を結んだのです。
▲法政大学キャリアデザイン学部の武石恵美子教授
▲WLBに取り組む都内企業の調査報告をするゼミ学生。











