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WLB推進企業レポート掲載!『アリオン株式会社』 (『大学生の視点』からワークライフバランス推進に取り組む企業を取材!)
2009/02/18
〜中小企業の柔軟な対応力を生かしてワーク・ライフ・バランスに取り組むアリオン株式会社。人事のご担当の方と、女性社員の方お二人にもお話を伺いました〜
【企業概要】
| IT機器のロゴ取得のためのテスト、メーカーが製品開発の途中で必要となる品質
確認のための各種試験 | |
| 2002年4月 | |
| 31名 (男性23名、女性8名) |
【ワーク・ライフ・バランスの取り組みについて】
—貴社で「ワーク・ライフ・バランス」を展開する理由を教えてください。
仕事内容の専門性が高いことから、社員の雇用には注意を払ってきています。専門性が高い人材の育成には時間がかかるため、簡単に辞められてしまうと会社にとってもデメリットが大きいのです。そのため、会社としては長く勤めていただけるように対応をしていきたいと思っています。
—女性の方も多いのですが、女性の能力発揮策としてどのようなことをしていますか?
女性の能力発揮というのは特別に意図しているものではありません。中小企業の宿命ともいえる、人材の採用が難しいという環境の中で、優秀な人材を確保しようとしてきた結果、自然に女性の比率が上がってきました。
会社としては、社員の長期の雇用を望んでいるわけですが、女性の場合は出産・育児という問題に直面するため、会社としてはそのような部分をバックアップしていきたいと考えてきました。
また、我が社の社員の雇用契約は、全員が個別契約となっており、毎年年度末に個別の面談を行い翌年の年俸を決めています。その話し合いの中で、社員の要望(休暇や就業条件などへの希望)を聞いています。就業規則はこうだからと社員全員に一律の制度を適用するのではなく、ひとりひとりのライフスタイルに合わせていけるように柔軟に対応しています。
【育児に関する制度について】
—育児休業を取っている方へのバックアップ体制が整っているということですが、どのような取り組みをしているのですか?
会社の制度としては、たとえば育児休暇取得後は本人の希望に基づき、原職相当職に復帰できたり、スムーズに職場復帰できるように、必要な訓練を休暇中あるいは休暇終了直前(後)に行ったりできる制度などを作ってきました。しかし、残念ながらまだ利用者がいません。女性社員は、子どもが産まれて就業復帰する際に我が社に就職した人や、子育てが一段落した主婦の方がパートタイマーとして働いているというように、入社後に出産や乳幼児の育児に直面する女性がいなかったためです。
ただし、社員数の少ない中小企業において、育児休業取得が出た場合の対応や取得者へのバックアップは難しい問題だと思います。少人数の部門においては一人がいなくなるだけでも、そのインパクトはとても大きいです。その対策として、一つは派遣の方にお願いするという方法があるのですが、我が社ではポリシーとして派遣は使わないこととしてきました。それは、仕事の内容として、メーカーの発表前の新商品を取り扱うこともあり、守秘義務が非常に厳しく問われるためです。派遣労働者の場合にいつ企業を辞めるのか分からないので、社員で対応するようにしています。
ではどうしたらいいのか、ということですが、我が社には台湾に300人の従業員がいて、大きな母体があります。そこから、日本に来てくれないかとお願いすることがあります。社内の人材をグローバルに活用できないかと考えているわけです。
—いままで実際に台湾から来てくださった方はいらっしゃいますか?
います。2年ほど前に2年間来ていた人がいます。これは育児休業取得者の代替のためではなくて、人材が不足したことに加え、技術交流をかねて行われました。育児休業時においても、同様の方法がとれると思っています。
—御社は日本以外にも台湾、アメリカ、韓国、中国と支社がありますが、どの国でも育児休業制度は一律に適用されるのですか?
一律ではありません。国によって文化が違うので、日本の制度は日本だけで適用しています。
例えば、台湾では日本のような育児支援の法律はありませんが、社会習慣として働く女性を支援する風土があります。台湾では、働く女性が家事をしなくても全く問題になりません。男女共に仕事にも家事・育児にも参加することが当たり前になっています。
【有給休暇について】
—有給休暇の取得率が比較的高いですが、この背景にはどのようなことが考えられますか?
はっきり言って、有給休暇の取得率は個人によってばらばらです。女性の取得率は100%ですが、男性は100%に近い人もいれば、ほとんど取得していない人もいます。
なぜ違うかというと、働くことや休むことについて、一人ひとりの考え方が違うからです。毎年、個別の面談で来年の雇用契約について話し合う際に、ある人は働けるものならいくらでも働きたいという人もいるし、逆に有給休暇を残したくはないという考えの人もいます。
有給休暇は、会社側からみれば労働者との契約であって、権利として当然のものです。それを行使することに関して、なんら会社は制限するべきでないと考えています。そして、取得率が高いのは、有給休暇を取ったほうがよいと思う人が比率として高いからだと思います。
—有給休暇を取りやすくするための取り組みは行っていますか?
毎週週末に、翌週と翌々週の仕事がどんな状態か、また月末には翌月の仕事の状態を把握するようにしています。それにより仕事があまり忙しくない期間があれば、有給休暇を取っていない社員に対して、有給休暇を取らないかどうか声掛けをするように、マネージャーにお願いしています。
【その他の制度などについて】
—パート社員の正社員への転換制度を導入されていますが、これはどのような背景があったのですか?
この会社では人事制度や評価の仕組みは、ジェンダーや年齢、国籍などによって差別はされず、その人の能力によって決まります。ですから、パートの人はたぶん働ける時間が少ないからパート社員を選択しているのであって、フルタイムで働くことができ、なおかつその人の能力が私たちの望むものであれば、正社員に転換することは何も拒むものはないということです。
—キャリアアップや自己啓発についての取り組みはありますか?
社員のキャリアアップの支援をしています。機密保持のために全社員が受ける研修や英語や中国語の語学研修、技術的な研修などにおいて、金銭的なフォローを行っています。その他に、簿記などは学校に通って取得してもらっているケースがあります。また、パート社員にも正社員と同じ訓練が受けられるようになっています。
これらの取り組みは3年ほど前から行っており、語学研修については社員から要望があったので始めました。
—IT関連業界といいますと、残業が多いというイメージがありますが、残業についての問題はありますか?
我が社では裁量労働制を採用しており、まず残業という概念自体がありません。IT業界において、休暇が取れなかったり、常に残業が多かったりというのは、慢性的な人員不足だからと考えられます。我が社では少なくとも1日の稼働時間は8時間と想定しているので、子どもがいる従業員は、ほぼ定時の6時で帰宅しています。
また、隔週水曜日に「早く帰ろうデー」を設置しています。
—社員との面談の中で、従業員の方から新しい制度への要望は出るのですか?
出ることもあります。しかし、その時でなければ言えないということではないので、面談時に限らず、いろいろな意見が随時出てきます。
【今後の課題について】
—ワーク・ライフ・バランスについて、今後の課題があれば教えてください。
中小企業において、育児休業中の代替要員をどうするかは大きな課題です。事前に準備することができないし、育児休業を取得すると決めてから取得するまでの期間が短いです。さらに、その人が復帰するときには、代替要員で雇った人がいなくならなければいけないのです。両方いて良いという状態は、中小企業にとって難しいです。国内で人員を補おうとすると、どうしても非正規雇用(派遣か有期契約)となってしまいます。
また、首都圏では特に保育園が少ないことが問題です。いくら会社が制度を用意しても、子どもを保育園に預けられないと復帰できません。最近は待機児童が減っているといいますが、育児休業を取得している人以外は、保育園に入るための手続きができないことが多いです。一度会社を辞めて、子どもを保育園に預けられるようになったら仕事に復帰しようとしても、それは受付の優先度が低いので非常に困難です。保育園などへの入所ができないと、育児と仕事の両立は難しいと思います。
【女性社員2名(営業担当・技術担当)の方へインタビュー】
—お二人はどのような形態で働いてらっしゃるのですか?
私はパートタイム社員として10時から17時まで勤務しています。
私は9時から18時までですが、だいたい19時から20時までで、遅いと21時くらいになります。
—働きながらの子育ては大変ですか?
大変です。小学生の子どもが2人いるのですが、17時に勤務が終わり家に帰ったら、ご飯を作って、宿題をみて、お風呂に入れて、寝かせるのが大変です。自分の時間はないです。
子育てをしていない私でも自分の時間はないので、子育てしながら働くのはとても大変だと思います。しかし、ここの会社は女性のサポートをいろいろしてくれているので、その点では働きやすいと思います。
—就職する際に、このように制度が充実していたので、この会社を選んだのですか?
就職する際に重要だったのは仕事の内容でした。しかし、制度が充実していないと出産を機に一旦職場を離れることがある女性にとって、制度は気になる部分ではありました。
—3年ほど前からキャリアアップへの取り組みが行われてきましたが、それによる効果は感じられますか?
どういうことをすれば自分に力が付いてくるのかが今までは分からなかったけれど、この制度によって自分のやってみたいことを考えるきっかけになりました。会社からある程度提示されていると、他にも新たなことをやってみようかと視野が広がります。また、みんな積極的になると思います。
—会社に作って欲しい制度など、なにか要望はありますか?
会社の中に託児所がほしいです。そうすると少し負担が減ると思います。
制度は細かいことなど、多くあるので特にありません。制度が細かく決まっているので、それにはまらないと適用されないという部分もありますが、きちんと制度にのっとってやってくれているので、助かっています。
—本日は貴重なお話をありがとうございました。
【レポート作成者】
法政大学キャリアデザイン学部 本田佳奈子











