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WLB推進企業レポート掲載!『株式会社高島屋』(『大学生の視点』からワークライフバランス推進に取り組む企業を取材!)

2009/02/18

                    

株式会社高島屋

〜女性比率が高く、早い時期から女性の活躍推進に取り組んでこられた株式会社高島屋。人事部人事政策担当次長の 中川 荘一郎様にお話をお伺いしました〜

【企業概要】

事業内容
 百貨店事業、通信販売事業
設立年
 1919年(創業1831年)
従業員数
 6,872名 (男性3,695名、女性3,177名)

【ワーク・ライフ・バランスに取り組む背景】
—この不景気といわれる時代において、非正規雇用の削減が進み、コストを削減していこうという風潮の中でワーク・ライフ・バランス施策の充実は進むのでしょうか?
 ワーク・ライフ・バランス施策はそんなにお金が掛かるものではないと考えています。
事業所内に託児所を設置する等は別ですが、仕事の与え方、進め方の工夫を凝らして従来よりも短い時間で成果を上げるような取り組みにはお金がかかる事は少ないです。厳しい時代だからこそそういった支援をして、従業員のモチベーションを高めて、限られた時間の中で高い成果を求めていく事で、なんとか乗り切っていこうという姿勢が必要だと思います。

【女性の活躍支援】
—女性の活躍支援策、女性従業員が多いことの強み等を教えてください。
 正社員だけで見ると、実は男性の方が多いです。ただし、その他色々な雇用形態を含めると、女性が多く全体の3分の2は女性です。売り場に立っている従業員は、実は我が社の職員ではない場合の方が多く、店舗で目にする印象よりは男性の従業員数は多いといえます。性別に関わらず人それぞれの個性、能力を見て採用や育成をしているので、あえて女性に特別な施策を実施するというような、女性だけを対象とした特別な取り組みは行っておりません。
平成3年において6年程度であった女性の平均勤続年数が徐々に伸びていく中、女性に対する仕事の与え方等の改善に向け、平成13〜15年の3年間に、男女共同参画型企業への集中的な取り組みを行いました。数年後に女性が3分の2になることを見込んでの取り組みでした。

【男性にとってのワーク・ライフ・バランス】
—ワーク・ライフ・バランスというと、女性の働き方や、育児の仕方などがクローズアップされることが多いと感じているのですが、男性の側から見たワーク・ライフ・バランスについてはどうお考えですか。
 先進諸国の中でも日本の女性が働く割合が低いということの原因は、男性の働き方や役割分担の仕方にあると思います。男性の働き方、意識を変えていかないと、就業率の低下や少子化問題は良い方向に向かっていかないのかと感じています。
ワーク・ライフ・バランスというと、子育て支援だというイメージを持たれる方が多いです。決して間違いではないが、誤解といえば誤解です。ワーク・ライフ・バランスを、育児や介護が必要な人への理解というよりも、社員一人一人が自分自身の「ワーク・ライフ・バランス」、すなわち働き方について考え、仕事以外で色々な経験をすることが、結果的に仕事に反映するというように捉えて欲しいと考えています。
今日本の企業が取り組まなくてはいけないのは、男性中心とした長時間労働を、定時で帰れるような働き方へシフトさせていくことだと思います。そうすると、男性が家庭に参画をしていく。育児休業を取得せずとも、育児に携われる環境が自然と生まれるのではないかと考えます。そういった働き方をベースとして、自分が育児に主体的に関わりたい男性が育児休業をとっていけるような支援をしていくべきだと思います。その部分の周知は非常に大事になってきます。
女性だけが制度を活用することは、一方で女性が活躍をすることと相反することだと感じます。例えば育児で短時間勤務を取得することが、必ずしもその人のキャリアにおいてプラスばかりではありません。配偶者との協力で短時間勤務をせずに済むような環境を作り、一定の時間内で成果を発揮出来れば、本人のキャリアもより豊かになると思います。
こうした考えから、我が社では、研修の実施やガイドブック作成を通じ、男性の意識づけに取り組んでおります。育児に携わりたいと考える男性は非常に増えてきており、当社でも30名程の男性が育児休業制度を取得してきたという状況です。その数が多いかというと、決してそうとはいえませんが、男性もごく普通に育児休業を取得出来る雰囲気になってきたのは事実です。ただし、無給で男性が長期間休業をとるのはなかなか難しいでしょうね。

【ワーク・ライフ・バランス推進の現状・課題】
—会社の規模が大きいが故に制度の周知が浸透しにくい部分はありますか?
 確かに従業員に会社の考えを伝えにくい部分はあります。その意味で、労働組合との連携を図っています。働く現場の生の声を吸い上げるときに労働組合が果たす役割が非常に大きく、その意見を施策に反映させていくようにしてきました。労働組合が組織として職場会で説明をして、そこで承認されたものを周知していくというステップを踏んでおります。ただし、個人レベルではまだ理解のバラツキがあるのが実情です。継続して地道に周知していく事が大切でしょう。

—貴社がワーク・ライフ・バランスに取り組むキッカケとなった出来事を教えてください。
 次世代支援対策推進法が施行されて、少子化に対する取り組みが企業にも強く求められたことが一つの大きなキッカケです。ただし、我が社では、ワーク・ライフ・バランスは子育て支援ではなく、社員全員に対しての取り組みであるということを、明確に打ち出しています。

—ワーク・ライフ・バランス推進において、実感した手応え、成果を教えてください。
 社員と有期雇用者との差(休暇や、制度の利用における)をなくしていこうという取り組みが進み、会社としての一体感が生まれ、チームワークに良い影響があったことです。また、スクールイベント、ボランティア休暇がモチベーションアップに繋がりました。以前よりも積極的に育児に参加しようとする男性社員が増えたのも事実です。

—制度を利用しやすい環境、雰囲気作りはどのように行いましたか?
 私達の会社は営業時間が長いために、交替制勤務という形をとっていて、職場の中で全員が揃う日が少なく、時間帯によって働く人が違うのが特徴です。そういった中でコミュニケーションを円滑にしていかなければという課題があります。管理職やマネージャーに対して、個人に合った仕事の与え方をするよう意識づけをしています。現在短時間勤務制度を利用している人数は全体で600人程と非常に多いです。休みが取りやすいといえますが、たくさんの人が休みを取っているために逆に取りにくいと考える人もいます。

—ワーク・ライフ・バランスという概念の受け止め方は人によって違いますよね?
 仕事重視にすると私生活がおろそかになる、またその逆もあると考える人が多いのが現状です。つまりはワークとライフを天秤にかけるのではなく、双方のバランスを上手にとり、状況に応じて柔軟な働き方をすることこそがワーク・ライフ・バランスであると社員には言っています。

—これが出来て良かったなと思った取り組みを教えてください。
 人事の仕事を始め、社員の声を聞いて制度を作って、それを実際に使ってくれること、中でも男性が育児休業を取得した事が非常に嬉しかったです。正直なところ取らないのではないか、次世代育成支援法による企業の認定を受けられない(*認定を受けるためには男性の育児休業取得者がいることが要件)のではないかなと思うこともありました。

—今後取り組んでみたい、やってみたいことを教えてください。
 たくさんあります。なかなかハードルの高い部分はありますが、それは置いておいて。制度があってもそれを使わなくても済むような働き方の改革を目指しています。業態柄難しい在宅勤務制度や、託児所の設置も課題です。そして「女性が働きやすい企業」を「女性が活躍出来る企業」へとレベルアップさせていきたいです。

—本日は貴重なお話をありがとうございました。

【レポート作成者】
 法政大学キャリアデザイン学部 冨田有祐

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