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WLB推進企業レポート掲載!『早稲田大学生活協同組合』 (『大学生の視点』からワークライフバランス推進に取り組む企業を取材!)

2009/02/18

                     

早稲田大学生活協同組合

~東京都の実施する「東京都中小企業両立支援推進助成金」を有効に活用してワーク・ライフ・バランスに取り組む早稲田大学生活協同組合。理事会室次長の木内圭一様にお話を伺いました~

【企業概要】

事業内容
 大学内での福利厚生事業
設立年
 1951年
従業員数
 44名(男性29名、女性15名)、パートなどの非正規職員 約550人

【ワーク・ライフ・バランスの取り組みについて】
―「ワーク・ライフ・バランス」を展開する理由を教えてください。
 大学生協は、「人間らしい豊かな生活、人と地球にやさしい社会を実現する」という基本理念と「協同・協力・自立・参加」の4つの使命に基づいて活動している大学内の福利厚生を担う非営利組織です。大学内では他業者との競争もありますが、非営利団体だから利益を出さなくてもよいわけではなく、安定した経営を持続しなければなりません。早大生協がワーク・ライフ・バランスに取り組む背景として、経営を持続させるためにも優秀な人材に残ってもらいたいという狙いがあります。
 過去に女性職員が育児休職を取得し、職場復帰したけれども数年後には退職をしてしまったという事例がありました。彼女は非常に優秀だったので、退職されたのはとても残念でした。この出来事が、現在ワーク・ライフ・バランスに取り組む原動力のひとつとなっています。

―働く人の構成はどのようになっていますか。
 早大生協は、正規が44人(女性15人)で、店長以上の管理職が16人(女性3人)です。このほかにパートなどの非正規職員の方が約550人で構成され、この多くは女性です。もともと女性の比率が高く、男女の給与格差等はありませんでした。そのため特別女性の活用などを行う必要もありませんでした。

―「ワーク・ライフ・バランス」を進めるためにどのようなことをされているのでしょうか。
 理事会室のもとに、「ワーク・ライフ・バランス推進委員会」を2008年に設置しました。「働きやすく、利用しやすい生協」を目指し、職場への提案その他啓蒙活動を行っています。そもそも、次世代育成支援対策推進法に基づく企業認定を受け「くるみん」を取得することも将来の念頭に置いていることから、子育てを行う職員の方の職業生活と家庭生活との両立支援として、職員の方の具体的な要望調査、母性健康管理についての情報収集を行ったり、制度に関する分かりやすいパンフレットを配布するなどの提案を行う予定です。
 この他にも子どもに、保護者である職員の方の働いているところを実際に見ることができる子ども参観日の実施に関して希望調査を行っています。
 同時に、時間外労働の削減も重要な課題です。

【労働時間の短縮に向けた取り組み】
―労働時間に関してどのような取り組みをされていますか。
 働き方の見直しなどの労働条件の整備として、職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識の是正のための情報公開や、所定時間での作業効率向上と標準化を目的とした対策も行っています。
 具体的な対策としては、年次有給休暇取得の現状や残業時間の実態を個人別に把握し公開しています。残業に関しては、残業時間の多い「ワースト10」の職員の名前と残業時間を公表し、残業時間の削減に取り組んでいます。名前と残業時間を公表されると、さすがに残業を減らそうという意識を持つようになるのではないでしょうか。
 残業は、職場によってかなり差があります。仕事の特徴もありますが、マネージャーの意識やマネジメントのスタイルによっても違いが大きいように思います。ワースト10を発表することで、職場全体としてこの問題意識を共有してもらうということも考えています。
 ただし、残業をすることに関しては、世代によっても意識が違います。残業をする人が仕事をしている、という意識の人もいます。したがって、まず、残業に関する認識が変わることが重要です。
 また、残業が減ることでトータルの収入も減ってしまう、ということについての認識も個人によって異なります。残業をしないで家に早く帰りたい、と考える職員がいる一方で、家に帰ってもやることがなく別に残業が無くならなくてもかまわない、と思っている人もいます。個人のプライベートまで踏み込むことはできないのですが、残業を減らそうという意識を共通に持つことも必要です。

【仕事と育児・介護の両立支援について】
―育児休職に関して何か取り組みをされていますか。
 現在は育児休職者の方に、休職中の情報提供や上司とのコミュニケーションなど、職場復帰のプログラムを準備して提供しています。ただこのような支援を行っても、育児をしているとなかなか忙しく、こうしたプログラムを活用するのが難しい面もあるようです。
 育児休職者の仕事は、非正規職員の方を一時的に雇用したり、あるいは職員の方を異動させたりして、ケース・バイ・ケースで対応しています。時には他の大学生協さんから職員の方に来てもらうこともあります。大学生協は、他大の生協職員との人事交流があり、育児休職者が出た時以外でも異動は行われています。早大は働きやすいという評判が定着し始め、異動を希望してくる人もいます。
 また、介護休職は最大1年休むことができます。

―非正規の方も多いのですが。
 パートなどの非正規職員の方は1年の契約で働いてもらっているのですが、年に一回の大学生協職員の正職員採用の際に、早大生協で推薦をして正規として採用されるような支援を行っています。また、労働組合がなかった非正規労働者ですが、過半数代表者制度ができ、労働環境の整備について発言する機会ができました。非正規職員の方は非常に多いので、この方たちに長く働いてもらいたいし、そうでなければ組織が存続できません。

【WLBの推進と取り組みの効果、課題】
―取り組みを進めて変化がありましたか。
 こうした取り組みに対して職員の方からも職場の雰囲気が変わったなど働きやすくなったといった声もあります。
 ただし、ワーク・ライフ・バランス推進委員会の活動についての難しさは、特に子育てをしているメンバーはプライベートでも忙しく、いざ活動する時に忙しくて活動できないといった課題があります。子育てと関係のない職員の方との意識のずれが、活動を進める上で障害になることもあります。

―取り組みにあたって何か工夫をされているのでしょうか。
 東京都からの助成金を活用し、外部コンサルタントによる外部研修を導入しています。管理職同士の連携を図ると共に、WLBについてお互いに考え方を見直す機会を設けています。たとえば、残業などの各職員の働き方は、上司である店長の裁量に任される部分が大きい現状にあります。したがって、店長のマネジメントがとても重要になってきます。店長間で問題意識を共有し必要に応じて連携を図ることで、部下へのマネジメントや業務指導が有効にできるようになっています。以前は、そうしたことをきちんと連携する場がなかったので、自治体の助成金のような支援は規模の小さい組織においてはとても有効です。
 また、自治体からの助成金の存在が、組織の合意を得る上でも有効でした。理事会室だけでワーク・ライフ・バランス取り組むのは限界があるわけですが、組織の合意を得る際に、助成措置があるということは、組織全体の取り組みを後押しする効果があります。

【インタビューを終えて】
 今回お話してくださった理事会室の木内様はワーク・ライフ・バランス施策によってそれぞれのライフとワークを尊重し、会社だけでなくジェンダーに理解ある社会になってもらいたいと仰っていました。担当の方が、「働きやすい、利用しやすい生協」を目指したワーク・ライフ・バランスに熱心に取り組んでおられ、このような熱心に取り組む職員の方の存在が、早稲田大学生協という一つの組織を動かしていました。
 一方で、会社などの組織だけではできることも限られています。ワーク・ライフ・バランスは企業の取り組み以外にもそれを受け入れるような社会が必要であり、企業だけが先走りするのではなく、自治体や企業双方の取り組みが必要なのでしょう。

【レポート作成者】
 法政大学キャリアデザイン学部 平野貴幸

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