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WLB推進企業レポート掲載!『株式会社妙徳』 (『大学生の視点』からワークライフバランス推進に取り組む企業を取材!)
2009/02/18
~効率的な働き方をトップのリーダーシップの下で強力に進める株式会社妙徳。その取り組み内容は非常にユニーク。今回は、常務取締役の吉田清輝様と経営企画のマネージャーの國松孝行様にお話をうかがいました。インタビューの途中から中森俊雄社長にもおいでいただき、意見交換をさせていただきました~
【企業概要】
| 空気圧機器の製造販売 | |
| 1951年 | |
| 約160名
|
【ワーク・ライフ・バランスの取り組みについて】
―ワーク・ライフ・バランスの取り組みの理由と背景を教えてください。
当社では、効率的な業務の遂行を図り、働き方の見直しを進めてきましたが、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は後から聞いた言葉です。私たちが取り組んできたことが、今日言われているワーク・ライフ・バランスなのか、ということを取り組みを進める中で知ったというような感じです。
そもそも、会社として社員にどのように働いてもらいたいかということを考えてきたわけで、ワーク・ライフ・バランスを目標にしていたわけではありません。結果として、これまでの取り組みがワーク・ライフ・バランスにつながっているのだと気づきました。当社のポイントは、効率よく仕事をするためにはどうすればよいか、の追求です。そのために残業ゼロを目標にして、決められた時間の中で生産性を高めて仕事をして、自分の時間を自由に使う、ということを進めた結果として、ワーク・ライフ・バランスという取り組みになっていったのではないかと思います。
―貴社ではトップダウンで取り組みが行われているということですが。
会社という組織の中で、ボトムアップで物事を進めるのは難しいことも多いです。たとえば、社員がワーク・ライフ・バランスの取り組みをしたいと思っていても、なかなか言い出すのは難しいと思います。上に立つ者が率先して意識を変えるということが重要だと思います。例えばリフレッシュ休暇にしても社長自ら休暇を積極的に取得してくれたおかげで、社員も一週間休んでいいのか、と思えるようになりましたからね。
【残業ゼロへの取組】
―貴社の大きな特徴として、残業時間の月平均が5時間という素晴らしい結果が残せていると思うのですが、残業時間を減らした理由は何でしょうか。
もともとはトップの考え方によるところが大きかったです。残業をゼロにして残業代のコストを削減するという意味ではなく、だらだらと働いていても成果などでる訳がないという思いがあったからです。いかにして時間内で効率を求め、仕事の成果を出していくのか。ということがスタートでした。
普通に考えてみても、長い間働いていたら仕事のペースが遅くなりますよね。そうなれば次の日の業務にも影響が出ると思います。時間の縛りをいれてこの時間で終わらせようと持っていくことが大事だと思いますよ。
残業が減ることで社員の収入が減ってしまうことについては、収入減を防ぐための給与体系に変更して対応しました。
―いい仕事をするには集中して短い時間で取り組んだ方が効率が上がりますね。しかしいきなり6時に帰ってくださいと言われても帰れない人はいなかったのですか。
そうですね。取り組みを始める前は、夜の9時や10時まで仕事をしたり、土曜日にも出勤するというのは普通でした。残業している人は仕事熱心な人、という意識もありました。ですから、いきなり残業をしないで6時に定時退社を始めようとしても無理があります。最初は「全員9時までに帰りましょう。」、次には「8時までに帰りましょう。」ということを1年半くらいかけて、徐々に帰る時間を早くしてもらうように努力しました。いきなり6時に帰ってくださいと言っても仕事なんて終わりませんからね。時間をかけてゆっくり社員の意識を変えていくことが重要だと思います。
―では残業時間を削減するために、貴社ではどのような取り組みを行っているのですか。
まず残業をする場合には事前に部門長に対して申請をします。これは部長などの管理職も同様です。この申請を徹底して、申請が許可されなければ残業はできません。そして部門で最後に退社する人が、帰宅時間をメールで本社へ送信するという取り組みを行っています。これは全国の各部門で、自分の部門の社員が全員帰宅したら最終退社者が本社に「○○部全員帰宅しました。」とメールで送り、全国の社員の帰宅状況を把握するためのものです。これによってどこの部署で残業が多いなどと指導しやすくなりました。
―残業時間を削減するためには、仕事も見直す必要があると思いますが。
残業時間を削減するためには、無駄な仕事をなくさなければなりません。そのため当社では、徹底した業務の見直しを行いました。なぜ残業が発生するかといえば、仕事が特定の人に偏っている(○○さんがいないと仕事が回らない)、仕事の情報を個人が抱え込んでいる、書類の整理整頓ができていない、システム化できる作業に時間をかけている、といった状況があるからと考えました。
まずはデスクの整理整頓です。工場で実施していた5S(整理・整頓・清掃、清潔・躾)活動を事務部門にも適用しました。整理整頓をすると、デスクの上に書類や本がいっぱいで書類探しに時間がかかる、というような状況がなくなるというメリットがあります。また共有の事務機器なども、同じ場所に戻すというルールを徹底すれば、それを探す無駄な時間を節約できます。
そして、情報の共有化です。大量の書類の元であるコピーは、使用したらすぐに廃棄し、基本は原本を残して共通の棚に保管し、必要に応じてそれを使用するということを徹底しています。そのためにだれもがどこに何があるのかがわかるようにファイリングしています。そして情報は個人のPCに保存しないで、社内共通のサーバーに保存するようにしています。それによって書類を共有化して、前のノウハウを活用する、といったことが可能になっています。このようなことは徹底して進めないとすぐに後戻りしてしまうので、当初は副社長が率先して全国の営業所を回ってチェックをするほど徹底しました。
さらに、社員は頭を使う仕事に集中できるように、機械がやれることはシステム化して機械に置き換えるということも進めてきました。たとえば、主な顧客からの発注・受注をシステム化することなど、数千万の設備投資をしながら効率的な業務遂行のための取り組みをを行ってきました。これによって12人でやっていた仕事が半分の人数で済むようになりました。地方に営業所があるため、テレビ会議のシステムも導入し、出張などの時間や手間を節約することもしています。
当社についていえば、このような取り組みにはかなりコストがかかっています。しかし、この費用は「投資」と考えており、これからも必要であれば積極的に投資していこうと考えています。
―さまざまな取り組みで残業時間を削減しているのですね。
ただし、社員も8時間で成果を出すという厳しさがあります。働く人にやさしい制度とは考えていません。
【休暇の取得促進策】
―なるほど。徹底した管理と一歩ずつ着実に残業時間を減らす努力をしてきた努力が現在のワーク・ライフ・バランスへの取り組みの好結果として表れているのですね。それでは有給休暇の取得について詳しくお聞かせください。
たいていは有給休暇があっても使えないのが現状ですよね。みんな働いているので自分だけ一週間休むという訳にもいかないですよね。しかし有給休暇は個人の権利なのにそれを使うことができないということはおかしいと私たちは考えています。
―確かに今の学生の私の立場からですが、有給休暇を使いたくても使えない会社や社員が多いということは、大きな疑問を持っています。実際に貴社ではどのように有給休暇に対して取り組みを行っているのですか?
当社の特徴は、有給休暇の連続取得を促進している点です。有給休暇を必ず5日間連続で取得させ、土日と合わせ9日間休んでもらうような取り組みを行っています。
ただし社員が一週間も仕事を休むとなると、仕事が回らなくなってしまいます。ですから周りの人が、休んでいる人の仕事をすることになります。自分の仕事とプラスアルファの仕事をすることによって、仕事の幅が広がり、もっと上に立ちクリエイティブな仕事ができるように成長することができます。つまりお互いが業務の代替をできるようになり「多能工」の育成につながります。また、全員が休暇をとるので、お互い様意識が生まれ、チームワークを高める効果があります。
こうしたことは、会社という組織としても、社員が成長して生産性を上げてくれるので非常にメリットがあります。
【取り組みの課題】
―それではこれからの取り組まなければならない課題があれば教えてください。
私たちはまだ完璧だとは思っていません。例えば定時に帰ろうと思っても帰れない場合もありますが、まだまだ改善が足りないということだと思います。書類やファイルが徹底してきちんと並べられ、誰がそこで仕事をしても書類を探すなどのロスが無く、効率的に仕事を遂行できるようになることが、私たちの理想です。
また多能工化も、よりいっそう取り組まなければならない課題だと思います。例えば誰かが仕事を休んだことにより、納期が遅れたり、決算発表が遅れたりするようなことは許されません。そのときにバックアップがなければ会社としての機能が低下してしまいます。そのような意味では様々な人がいろいろな仕事をできるようにして組織を強くしていきたいと思います。工場では多能工化育成のためのスケジュールを作り、計画的な取り組みを進めています。
また、かつての長時間勤務の職場のときの意識を捨てきれない人もいます。残業しないで成果を出す人を評価する、ということにしていますが、こうしたことを徹底していくには時間がかかるのも事実です。取り組みを前進させていくためには、重要性を言い続けることも必要で、効率的な業務遂行の徹底までにはいくつかの課題が残っていると考えています。
本日は貴重なお話をありがとうございました。
【インタビューを終えて】
今回のインタビューは中小企業のワーク・ライフ・バランスの取り組みということで大手に比べて資金もあまりかけられずに苦労しているのではないかと考えていましたが、ワーク・ライフ・バランス政策への取り組みを設備投資と同等に考え積極的に行っている姿には圧倒されました。制度も自社に合う工夫を凝らした制度を取り入れ働、きやすい環境づくりを積極的に目指している姿が良く分かりました。
【レポート作成者】
法政大学キャリアデザイン学部 桑野 惇











