このページの位置:
トップ > イベント・取り組みレポート一覧 > イベント・取り組みレポート

イベント・取り組み詳細情報

東京電力株式会社(大学生によるワークライフバランス推進企業への取材2009)


東京電力株式会社

〜東京電力株式会社のワーク・ライフ・バランス推進の取り組みについて、労務人事部の労務グループとダイバーシティ推進室の担当者の方にお話をお伺いしました〜



【企業概要】

事業内容
 電気事業 エネルギー 環境事業 住環境
設立年
 1951年
男女別従業員数
 男性33,434人 女性4,596人
男女別勤続年数
 男性21.0年  女性17.6年
女性管理職比率
 1.1%

【ワーク・ライフ・バランスについての考え方】
―まず御社のワーク・ライフ・バランス施策に取り組む考え方、意義を教えてください
 東京電力では、ワーク・ライフ・バランス(以下WLB)の推進に取り組んでいます。ワーク(仕事)とライフ(生活)の調和を図ることによって、相乗効果を及ぼし合う好循環を生み、社員一人一人の業務の生産性や意欲が高まることが期待されます。「ライフ」の中身は、趣味、地域社会活動、自己啓発、友達付き合い、育児、家事、介護など、人によって様々です。性別に関わらず、働く全ての人に関わるテーマですね。

―ワークと多様なライフとのバランスが大事なのですね
 そうですね。ただし、バランスといっても、ワークとライフの配分が、必ずしも5対5であることが望ましいという意味ではありません。理想とするバランスは人それぞれ違いますし、同じ人でもその時の環境や置かれている状況に応じて変化しうるものです。自分のWLBだけでなく、職場の仲間のWLBも理解し尊重し合うことが大切だと考えています。そのためには、日頃のコミュニケーションが大切ですね。

—では、そんなWLB施策を実施することによる効果とはどのようなものがあるとお考えですか
 個人にとっては人生の充実に、会社にとっては仕事の成果や生産性向上につながると期待しています。また、優秀な人材の確保・獲得にもつながると考えています。社員と会社にとってwin-winの関係になることを目指したいですね。

―ライフの充実が仕事に対しての成果に影響しているとは具体的にどういうことですか
 仕事に一生懸命に取り組みながらも、たとえば、飲み会や地域活動を通じてネットワークを拡げたり、新しいことにチャレンジしたり、話題のスポットに足を運んだり、自己啓発に取り組んだり、育児を経験したり。そういう仕事上では得られない経験を通じて、幅広い視野や人脈の構築をすることは、社員本人にとっても、会社にとっても、プラスになると考えています。ライフで築いた人脈が仕事に活きたり、新しいアイデアにつながったりといった経験が、私にもあります。さらに、多様な経験や引き出しを持つ人が集まれば、そこからまた新たな気づきやより良い課題解決策が生まれるなど、組織はより強くなることでしょう。社員も、「何時まででも残業できる」というよりも、「今日は何時までにこの仕事とあの仕事を片づけよう」と、ライフの時間を確保する目標があるほうが、仕事をより効率的にすすめる意識や行動につながり、生産性向上につながると思います。


【出産、育児に関する制度】
―続いて制度についてお伺いします。出産、育児に関する制度として、「特別フレックスタイム勤務」というものを導入しているとお聞きしたのですが、どのような取り組みなのでしょうか
 はい。仕事と家庭を支援するということで、休業に関する制度は、以前から実施していましたが、それだけでなく働き方の支援も重要であるということで、弊社では「特別フレックスタイム勤務」制度を導入しています。フレックスタイム勤務とは業務の繁閑に応じ、その日の業務の開始時刻と終了時刻を社員本人が決めることができる勤務制度のことですが、「特別フレックスタイム勤務」とは、フレックスタイム勤務が適用されていない部署の社員でも、育児や介護などの理由により本人の申請に基づきフレックスタイム勤務を適用することができるという制度です。なお、この制度は育児と介護についてだけではなく、本人希望があれば単身赴任者等にも適用しているんですよ。また、言うまでもありませんが、女性社員に限定したものではなく、男性社員にも適用されます。

―フレックスタイムが適用されていない部署というのはどのような部署ですか
 例えば、発電所など24時間体制で勤務が必要な部署では、交替制のためフレックスタイム勤務は適用されません。

―その他、育児をする人を支援するための「短時間勤務制度」も充実しているようですね
 はい。弊社では、育児をしている人を対象として、短時間勤務制度を導入しており、子が小学校1年生の終期に達するまで利用可能となっています。また、育児休職制度として満3歳まで休業が取得でき、出産や育児に関する制度は整っています。

―独自の取り組みとして、福利厚生でも、育児、出産関連で工夫していることがあるとお聞きしたのですが
 弊社の福利厚生はポイント制で、各自使いたいものを選んで使えるカフェテリアプランを導入しているのですが、この福利厚生の項目のなかの、子育てや介護に関するサービスを利用する場合は付与ポイントを1.5倍にし、他サービスよりも優位性を持たせています。


【効率的な働き方をめざすメリハリワーク運動】
―長時間労働削減を目的として、「メリハリワーク運動」を実施しているとのことですが、具体的にどのような取組ですか
 弊社では、業務の効率化や時間外労働削減を目的として、2008年4月から「メリハリワーク運動」として、様々な取り組みを実施しています。
その1つの例として、『原則20時退社』というものがあります。仕事はやろうと思えばいくらでもあり、残業しようと思えばいくらでも残れてしまうもの。遅くとも20時に退社するというルールを設定することにより、メリハリある働き方が身に付きます。19:30に時刻を知らせる音楽が流れる職場もあり、「残り30分でこういう段取りで仕事をここまで終わらせよう」というように意識の醸成につながります。こういった取り組みのおかげで、私自身も、メリハリある働き方を意識し、行動にうつすようになりました。

―同じく「メリハリワーク運動」の一環として『ノー残業デー』も導入していますね。どのようなものですか
 週1日は残業をせず定時に帰る日を意識的につくろうというものです。各自が、定時退社後の時間を、有意義に活用しているようです

―『労働時間の見える化』という取り組みも取り入れているようなのですが、どのような効果があるのでしょうか
 毎月グループごとの時間外労働実績をグラフにし、通路の壁などみんなが見える場所に貼り、社員各自へ時間外労働について意識してもらうことをねらいとしたものです。これにより本人の中で、時間内で業務を終わらせようという意識が芽生えますし、それが結果として、1人1人の業務の効率化につながります。

―メリハリをつけるために、『退社予定カード』というユニークな取り組みも行っているようですね。どのような取り組みか教えていただきたいのですが
 はい。意識づけという面からで、『退社予定カード』というものを実施している部署もあります。例えば、今日は18時、19時、20時まで残業して帰りますというそれぞれの意味を持つ、黄色、赤色、青色のカードがあるのですが、残業する場合には、夕方17時20分の鐘がなる前に、このカードを自分の机の上に置くという、要は宣言カードです。これにより1人1人が今は残業しているんだという意識が身につきますし、何時までと本人に言わせて実行させることにより、メリハリがつきます。

―その他の「メリハリワーク運動」の取組は、どのようなものがありますか
 その他の取り組みとしては、『休日勤務の事前申請』があります。休日に仕事をする必要がある場合には、事前に上司に相談して休日出勤しようというものです。昔は、忙しい時、休日に職場に勝手に来て、事後申請で仕方なく休日出勤を承諾していた部分がありました。管理者は事後的に承諾していたわけです。しかし、そうではなく、前もって上司に相談し、本当に休日出勤する必要があるのか、月曜日にできないかなどを確認することによって、何となく出てきての休日出勤はやめようというものです。
 そして、『コアタイムの短縮』は、全員が勤務しなければならないコアタイムの時間を短縮させて、より柔軟な働き方を目指そうというものです。ちなみに私達労務人事部のコアタイムは11時から13時に設定しており、よりフレキシブルな働き方が可能となっています。

―ここまで、お話聞かせいただいて、かなり強化して「メリハリワーク運動」に取り組まれているようですね
 そうですね。その甲斐もあって、それまでよりも社員1人1人が時間内に効率的に働くことを意識するようになったと感じています。言うまでもなく、WLBは、仕事に手を抜いて楽をして早く帰ろうという考え方ではありません。仕事のやり方を見直したり、無駄を省いたりすることによって、業務の生産性を向上させることが目的です。メンバー同士が互いのWLBを尊重し合うことで、チームワークの発揮にもつながると考えています。


【意識啓発、風土作り】
―次に、意識啓発、風土作りについてお伺いします。私自身も特に問題意識をもっていることなのですが、いくら制度だけあっても、利用、運用する社員の意識が伴わないと制度が上手く活用されないと思うのですが、意識啓発や風土作りはどのように行っていますか
 社外の有識者を招いての講演会や、WLBについて職場の仲間とともに考えるダイバーシティ・フォーラムを積極的に開催しています。業務分担や服務管理を行う立場にある管理職やチームリーダーは勿論のこと、それ以外の社員も数多く参加しています。そのほかにも、育児期の部下を持つ管理職へのヒントとなるようなビデオや冊子を制作し、管理職向けの教育ツールとして活用しています。また、全社員を対象に、WLBに関する小冊子を配布し、意識度チェック、Q&A、事例紹介などの内容を通じて、理解を深めてもらえるよう工夫しています。

―ファミリーデイというのを、実施しているのを聞き、おもしろい取組だと思うのですが、実際どのような取組なのかお聞かせ下さい
 東京電力が、「仕事や生活に対する多様な考え方や価値観をお互いが受け入れ、認め合うことが大切」という考えから、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」を推進しているということは、これまでのお話のなかでご理解いただけたかと思います。ファミリーデイ(家族による職場参観)は、社員にワーク・ライフ・バランスについて考えてもらうきっかけのひとつとして、各職場で年1回開催しているものです。
 当社のファミリーデイのプログラムは、家族による職場の見学、食堂利用、お子さまのための社員との名刺交換やミニ・ミーティングといった簡単な業務体験、IHクッキングヒーター調理体験や電気自動車試乗体験など、各事業所で工夫しています。社員同士が互いの家族を知り、互いの「ワーク」のみならず「ライフ」に対しても意識を向けることで、社員間のコミュニケーションや相互理解が一層深まるものと期待しています。また、家族が職場をみて何かを感じ取ることで、会社や仕事に対する関心や理解の深化にもつながっているようです。

―なるほど、ファミリーデイには、目に見えないお互いの意識を高める効果があったのですね。その他意識啓発や風土作りとして育児休職者に対する意識づけのセミナーも行っているようですね
 開催目的は、主に2点です。1つは、育児休職者の復帰に向けた意識向上。もう1つは、復帰後の両立への不安解消です。参加者は育児休職中の社員で、勿論、男女を問いません。内容は、両立支援制度や会社の動向の紹介、育児休職を経て職場復帰をした社員による講演、参加者同士での座談会など。多くの社員が、子どもを連れて、主体的に参加しています。


【今後の課題】
―最後に、WLBに関する今後の課題は何ですか
 社員が、WLBを理解し、その意識を実際に行動に移すこと。つまり、メリハリある働き方の更なる実践が課題ですね。今後も、「すべての人がやりがいを持ち、能力を発揮できる職場の実現」に向けて、取り組んでいきたいと考えています。


—本日はお忙しい中、どうもありがとうございました

【インタビューを終えて】
 生活者のための、ワーク・ライフ・バランス。ワーク・ライフ・バランスに対して、そういう意識が強かった私ですが、今回のインタビューを通してその意識は大きく変わりました。それは、ワーク・ライフ・バランスは、生活者の視点からだけでなく、経営戦略的視点からも大切であり、また、その関係がお互いwin-winの関係だという事です。私が、その事を特に意識づけられたのが、「仕事だけしてアウトプットしかしてない人と、仕事もライフも充実させてインプットもアウトプットも両方している人、そういう人の10年後を比べたらどうでしょう。インプットもアウトプットも両方できている人の方が成長していると思いませんか?」という言葉。今回のインタビューの中で、私が最もインパクトを受けたこの言葉は、ワーク・ライフ・バランスが、生活者の視点からだけでなく、経営者の視点から見ても非常に大切だということを象徴している言葉だと感じました。
 また、ワーク・ライフ・バランスを推進する上で、制度はあるけれども、利用できる風土や意識が伴わず、運用できないということは起こりがちですが、東京電力では、フォーラムを開いたり、啓発ビデオを作成するなど、意識啓発や風土作りの面でも様々な工夫をしており、ワーク・ライフ・バランスを表面的ではなく、根底の部分から改革して推進しようという思いがインタビューを通して強く感じられました。
 特徴的だった「メリハリワーク運動」も、単に労働時間を短くしてライフの時間を増やすだけでなく、メリハリをつける事により仕事の効率化、労働生産性増加という役割を図ろうとしていた事に、人事政策としての「メリハリワーク運動」の効果の絶大さを認識することができました。
 今回のインタビューを通して、このようなお互いwin-winの関係であるワーク・ライフ・バランス施策は、将来的に共働き家庭や、介護家庭の増加など、より1人1人のライフスタイルが求められるであろうこれからの時代において、ますます重要な人事政策になるだろうと感じました。

【レポート作成者】  法政大学キャリアデザイン学部 武石恵美子ゼミ3年 峯 和真

子育て応援とうきょう会議は子育てを応援するイベントや取り組みをしています。

イベント情報や、過去に開催されたイベントのレポートはこちらからご覧下さい!

  • イベント・取り組みの情報をみる
  • イベント・取り組みのレポートを読む

子育て応援とうきょう会議ってなぁに?


↑ページの先頭へ