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医療法人社団 北原脳神経外科病院(大学生によるワークライフバランス推進企業への取材2009)
〜救急・手術からリハビリ・在宅まで一貫した医療の提供をテーマに、脳神経内科・循環器科・神経内科から救急医療まであらゆる面で質の高い医療の実現に取り組んでいる医療法人社団 北原脳神経外科病院。人事部、採用担当の森岡友紀様にお話をうかがいました〜
【企業概要】
| 平成7年10月 | |
| 男性 100名(常勤 57名、非常勤 43名) 女性 152名(常勤 120名、非常勤 32名) | |
| 65% |
【ワーク・ライフ・バランスの取組について】
―初めに、御社ではワーク・ライフ・バランス(以下WLB)にはどのような目的で取り組んでいらっしゃるのでしょうか
当院では女性が非常に多いという特徴があります。しかし、出産して育児休業を取得しても、その後に子どもを預けて働くことが困難という理由で、退職する女性職員が増えてきました。現在は看護師が不足していて困っているという状況もありますので、いかに働く女性が育児を理由に仕事を辞めないで続けられるか、ということが重要になりました。
そのために病院としては、可能な限り最大限の努力を行い、仕事と生活の調和を図る施策を実施しています。
―では、具体的にどのようなWLBの取組を行っているのでしょうか
働くお母さんが多いので、職員専用保育園の設置をしたり、復帰後の働き方として、フレックスタイム制度や時短勤務制度を実施したりしています。
職員専用保育園は、「さくらんぼ保育園」といいます。やはり医療現場ということもあり、長い時間保育園に預けられることが求められます。そのため、かなり柔軟な対応をしています。例えば、手術待機をしている看護師のお子様がいる場合は、一緒に保育士にも待機に入ってもらい、実際に手術になったらそれに合わせて出勤し、子どもを預かっています。そして、手術が終わったらお子様と一緒に帰る、ということが可能になります。他には病気のお子様を預かる病児保育や、土日対応の休日保育、夜勤の職員のための夜間保育を実施しています。このような柔軟な対応ができるのは、保育士が常勤ということもありますが、それ以上に保育士の方々の工夫と努力により成り立っている部分が大きいといえますね。
時短勤務制度は、事前申請が必要になりますが、①8:30-16:00、②9:00-16:30、③9:30-17:00の3つのパターンから選んで勤務してもらっています。
【制度の利用状況】
―では、制度の利用状況はいかがでしょうか
制度の利用状況につきましては、保育園は人気があり、現在は30名程度のお子様が在籍しています。育児休業明けの職員の多くが利用していますね。フレックスタイム制も希望する人には適用しています。ただし、利用時の職場での対応は、各部署に任せているのですが、病院なので難しい面もありますね。
―具体的にはどのような状況があるのでしょうか
そうですね、やはり病棟の看護師は患者様を受け持たなくてはならないので、利用が難しいということもあります。例えば朝一時間遅く来る場合、病棟は交替制なので夜勤の者を一時間待たせて申し送りをしなければならないのです。申し送りをしないと、24時間365日患者さんをみるのは難しいんですね。そのため、当院では、夜勤専従の職員を雇ったり、業務に慣れている方であれば、フリー業務に就いて頂き、受け持ち業務を行う看護師のサポートをして頂いています。
―保育園や、時短制度は男性も利用しているのですか
奥様も働いていて、奥様の会社に保育園がない場合に、男性職員で保育園を利用されている方が何名かいましたね。時短制度は、今のところ男性職員からの要望はありませんが、希望があれば対応していきたいと思います。
【WLBを進めるための意識啓発・風土作り】
―WLB施策の職員の方に対する周知はどのように行っていますか
イントラネットを使ったり、もしくは個別対象者に直接メールをするなどを実施しています。また、WLB施策の浸透のための意識啓発などには、外部講師による研修を行っております。
―イントラネットはどのように利用されているのでしょうか
そうですね、匿名でも意見を投稿できる電子会議室を設けているので、若いスタッフなどは意見交換をする場として使っていますね。直接理事長に提案ができる、『プロジェクト翼』という制度もあります。意見交換の場としてはもちろん、当院では、誰でもトップに意見が言える風土であることを伝える役割という意味でも、開設しています。
―WLB施策の実施に関して社内の反応などはいかがでしょうか
さくらんぼ保育園は職員にとってはなくてはならない施設の一つになっていますね。ただし、保育園では、朝8時頃からお子様を預かっているのですが、もう少し早い時間から預かることができないか、という声もあります。また、時短勤務について、現在はお子様が小学校に入学するまで利用できますが、期間をもう少し延長できないかということも検討課題です。
―非常勤の職員の方に対する施策はどのようなものがありますか
もともと常勤と比べると、働き方がフレキシブルなので、特に制度としては設けてはおりませんが、保育園は利用できるようになっています。
【これまでの評価と今後の課題】
―施策を実施したことによる効果をどのようにお考えになっていらっしゃいますか
働きやすい制度を整備し、推進することができたと思っています。もともと、女性の管理職が多く、実際管理職に就いている者が保育園を利用していたケースもありまして、WLBに関する理解はかなり高いです。本当に看護師が不足していることに困っているので、保育園を整備することにより看護師が辞めないのであれば、病院としても工夫はいくらでもしますね。先ほども述べた、手術待機の例をとってみてもそうなのですが、なるべく保育士、他の職員もちろん看護師も自分達がいかに業務を続けられるかということを考えています。
――では何か今後の課題、取り入れたい制度などはありますか
制度はある程度整備されていると思うのですが、利用状況については保育園以外がまだまだ低いので、もっと気兼ねなく利用して欲しいですし、どうすれば利用頻度が上がるかを考えています。
また、スタッフのニーズに応えて時短勤務を拡大させることも課題です。また、有給休暇を計画的に取得することも検討しています。
―政府や社会に求めることとしては何かありますでしょうか
そうですね、たとえば積極的にWLBに取り組んで一定の成果が出ている企業は国などから助成金が出たり、広報に今以上に力を入れていただけるなどの支援策があると、取り組む側としても改革しやすくなると思います。
―では最後に、他の企業とは異なる病院ならではのWLBの特徴などがありましたらお聞かせください
病院というよりは、当院ならではかもしれないのですが、かなり組織自体の考えが柔軟なんですね。それこそ、保育園もおそらく他では対応してないほど柔軟に対応していると思っています。
産休に入っているスタッフが常時5~6人います。普通の企業であればおそらく対応は難しいと思います。しかも病院というのは、かなりハードな職場です。その中でも、なるべくみんなが仕事を続けられるようにと考え、職員もそういった考え方に慣れています。そのため、少し勤務が大変だったり、子どものことでちょっと困ったことがあれば、すぐに辞めるという選択をとらずに、何か工夫をすることにより変わらないかということを普段から考える組織風土があります。
病院は、患者様に合わせて動くので、人数が必要な分、お互いに協力して工夫をしています。たとえば、今はお子様が小さくて、日勤でなければ働くのが難しくても、もう少しお子様が大きくなったら夜勤も入るというように、みんなで工夫をしながら勤務を組むことができます。そして、それを支えるということでもさくらんぼ保育園は大きな意味をもっていると思います。
保育園は、6カ月から就学前まで利用できるのですが、小学校低学年が一番子育てでも大変な時期なので、その時期にはなるべく早く帰れるように、職場の理解が必要になります。
女性が多いという職場でもあるし、管理職の理解もあるので、当院の場合はそのような状況にも協力し合って乗り切っています。
—貴重なお話をありがとうございました
【インタビューを終えて】
病院ということで、民間の企業とは違う医療現場ならではのWLBの貴重なお話を聞けました。まず、北原脳神経外科病院で最も印象的であったのは、職場の理解がしっかりとあり、そして仕事を続けられる環境をスッタフみんなで助け合って作っているということです。病院というハードな職場という事情もあって、仕事を続けることは簡単ではないと思いますが、職員みんながどうすれば仕事を続けられるかということを考えていて、病院側もそのための制度をつくり、そして工夫を凝らしていることがわかりました。
今、病院は人手不足という現状もありますが、その中でもこのようにしっかりとした制度があり、使えるというのは職員にとってもとてもありがたいものなのではないかと思います。このような制度を作ることにより、職員が辞めない環境を作ることが出来れば、職員が不足するということも防ぐことができるので、人材が不足しがちな医療の現場では大切なことだと思いました。そして、その制度を利用できる風土があるということも大切なことだと思います。
北原脳神経外科病院の場合は、管理職の方が実際に保育園を使っていたという方が多いということもあり、上司の理解も十分にあるということなので、利用する方としても気兼ねなく使えるのだと思います。
今回のインタビューを通じて、そのような職場の理解があることが一番重要なのではないかと思いました。
【レポート作成者】
法政大学キャリアデザイン学部 武石恵美子ゼミ3年 広瀬紗也加











