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株式会社トライアンフ(大学生によるワークライフバランス推進企業への取材2009)
〜企業の組織力向上を支援するために、組織・人事・採用エリアでのコンサルティングとアウトソーシングサービスを提供されている株式会社トライアンフ。事業企画部の柴原怜子様にお話をうかがいました〜
【企業概要】
| 人事コンサルティング、人事アウトソーシングなど | |
| 1998年 | |
| (契約・派遣社員含む):75名(男性:27名/女性:48名) |
【ワーク・ライフ・バランスの考え方】
―ワーク・ライフ・バランスの取組方針やきっかけについてお聞かせください
ワーク・ライフ・バランス(以下WLB)に取り組んだ背景のひとつは、創業者が元々アメリカのヒューレットパッカートで人事を担当していた経験があり、その影響でWLBやダイバーシティというものに早くから取り組んでいたという点があげられます。その後弊社を立ち上げたのですが、給与の計算など、事業内容上、女性に適性がある仕事が多くあり、女性にしっかりと働いてもらいたいということと、入社した女性に辞めてほしくないということから、女性が働きやすい制度や会社をつくろうといろいろな取組をしてきました。
長期的に見たときに女性が辞めないことが弊社にとって利益になると思っています。たとえば休業制度を利用している期間はその間の人員がマイナスになってしまいますが、現在の弊社のWLBの水準は利益につながっていくと考えています。
トップがWLBを推進する、という意識を持っており、やるといったらやる、という雰囲気です。
【WLBに関する施策】
―具体的にはどのような制度がありますか
育児休業制度や、育児のための時短制度があります。また、育児中の従業員から会社に子どもを連れて来たいという要望がありましたので、社内に「キッズ・スペース」が設けられています。さらに小さな子どもを持つ男性従業員向けの制度として、「パパの日」が2008年からスタートしました。
最初は小さい会社でしたので、こういう制度を作ろうというよりも、子どもが熱を出したなら休んでいいよ、というように柔軟に対応していました。今でも十分柔軟だと思うのですが、それでも人数が増え育児の責任を持つ社員も増えて、制度化を進めてきました。2006年に社屋を移転し、キッズ・スペースを作ることになり、それをきっかけに制度が充実してきました。
―「パパの日」について詳しくお聞かせください
弊社では、女性の育児支援から取組を始めましたが、男性を意識した取組がありませんでした。
小さい子どもを持つお父さんの世代は、ちょうど会社にとっても稼ぎ頭になってもらいたい人材たちです。その人たちの育児休業制度の利用は会社にとってもダメージが大きいというのも事実です。ただ、子どもがいるので、週に一日早く帰って子どもとご飯を食べたり、お風呂に入ったりする時間を設けられるようにと始めました。
対象になる男性従業員には毎週水曜日は16時に退社し、まっすぐ帰宅するようにと社長から指示がでています。対象者はいまのところ小学校低学年くらいまでの子どもを持つ人たちです。当初は、仕事量が変わらずに時間が短くなることで仕事がこなせなくなるのではないかという心配もあったのですが、業務の報告の時刻を早めにすることや、効率的に仕事を進めることで早く仕事が終わるように工夫しています。生産性を上げる効果があったと思います。
例えば、次の日に「昨日子どもがね・・・」というような話を社内ですることもあります。弊社は、自分の子どもの話を普通にお父さんでもお母さんでもしますので、そういう話が自然とできる雰囲気があります。
―退社後にまっすぐ帰宅しない方もいらっしゃいますか
「寄り道したらクビだ」といわれていますので、それはないと思います(笑)。弊社では従業員の家族が会社に来る機会もありますから。
―キッズ・スペースについて詳しくお聞かせください
現在の社屋に移転する際に、従業員から希望を募りました。そのなかで、子どもを連れて出勤したいというものがありましたので、専用のスペースを設けました。また、すぐ隣に、休み時間にランチや休憩をとれるテーブルも設置しましたので、親子で食事をすることもできます。
―キッズ・スペースに保育士はいますか
子どもの世話をするための保育士はいません。連れてきた親や、周りの大人が自然に子どもたちを見守っています。来客がないときなどは、オフィスの方に出てきて遊んでいることもあります。子どもたちの名前なども、皆けっこう覚えていたりします(笑)。
―非正社員に対する施策や制度はありますか
正規・非正規という区分けはしていません。契約社員はいますが、すべて同じように関連制度を利用できます。
【意識・風土づくり】
―意識・風土づくりはどのようにされていますか
特別なことはしていませんが、半期ごとに社員総会があり、そこで社長の考えや社内の状況などが発信されています。また、社長と従業員がフランクに話をする機会が多く設けられています。それぞれのキャリアを考える上での面談もあります。
従業員同士ではキッズ・ルームに来ている子どもたちを他の従業員が休み時間に遊んであげたりして可愛がっているなかで、自然と歓迎する空気ができています。制度利用者をサポートする側は、子育てをしながら働くことの大変さを理解していますし、制度の利用者も権利だからあたりまえということではなく、周囲に充分な配慮をしながら懸命に働いています。こういったことは制度ではなく風土なのだと思います。
―WLB施策への従業員の方々の反応などはいかがですか
制度の利用者からはおおむね好評です。若い従業員も自分がそうなった時に利用できると思うから安心できると聞いています。
―環境整備はどのようにされていますか
基本的に制度の運用は各部署に任せているので、部署のマネージャーがそれぞれ管理をしています。
ただし、短時間勤務を可能にする人事面での工夫としては、同じ部署に短時間勤務の人とフルタイムで働く人とをバランスよく振り分ける事で、フルタイムの人にかかる負担を軽減しています。部署間の異動も柔軟におこなわれています。弊社では就職活動中の学生さんにお電話をする機会も多いのですが、そういった電話は、あまり早い時間や遅い時間にはかけられませんので、そこで時間の調節をおこなうこともあります。
【メンタルヘルスに関する取組】
―メンタルヘルスに関する取組状況についてお聞かせください
メンタルヘルスについては、労働時間が短ければ不安にならないということではないと考えています。ただし、メンタルの病気になったときには気持ちの面だけでなく体調不良もともなうので、それをフォローする意味での勤務時間の短縮や、満員電車での通勤ができないという症状があればそれを避けるために出勤時間をずらすことができます。
【効果、課題等】
―WLB施策を実施したことによる効果をお聞かせください
業務効率が良くなったことが一つ挙げられると思います。もう一つは優秀な女性社員が結婚・育児で辞めるこがなくなったという点です。
WLB施策の実施は、社員によく働いて欲しいからということもありますが、一番企業側として考えていることは、業務が最も効率的にできるようにするにはどうしたらよいかという点です。優秀な人材を繋ぎ止めることは、効率を上げるためにはとても効果が大きいので、そういった意味でWLB施策は必要です。
さらに当社では、お客様に人事面でのコンサルティングを行うにあたって、提案する施策は自社で取組をしたうえで提案するようにしています。実際にやってみてよいと思えなければ提案できません。そのような点でも、社内のWLBの推進は、顧客への提案にもつながっていきます。
―失敗だったと思われることはありますか。今後の課題についてもお聞かせください
失敗は今のところはないと思います。
今後の課題としては、収益とのバランスです。WLB施策と利益とのバランスは難しいというのはどこの会社でもあると思いますし、長期的な視点でみれば利益になると考えていますが、場合によっては難しい事もあるので、そういった事には出来るだけ注意しながら関与するようにしています。
―今後導入したい施策や制度はどのようなことですか
従業員の人数や事業規模を考えると、現状維持でよいと思っています。少なくすることは考えていません。制度の必要な人が働けなくなってしまいますから。制度の利用者はまだそれほど多くありませんが、これからおそらく若手社員の結婚や出産があると思いますので、そういう事をカバーしながら、新しい取組をしていこうと考えています。
―政府や社会への要望はありますか
今の段階では弊社の中でのWLBを考えていますので、特に政府や社会に対しての要望はありません。当社の中で働く人が利益を生み出しつつ、気持ちよく働くというのが大切だと考えています。
—貴重なお話をありがとうございました
【インタビューを終えて】
WLBへの取組の現実をお聞かせいただくというたいへん印象的なインタビューでした。そのなかでも特に感銘を受けたことがふたつありました。
ひとつは「制度ではなくて風土」というものです。どんな制度や施策があっても、それを可能にできる企業風土がなければ実行はかないません。トライアンフにはWLB制度を実際に利用できる風土が根付いているのだと感じました。その背景はトップと社員のみなさま、社員のみなさまどうしの普段からの円滑なコミュニケーションにあるのだと思います。もうひとつは、「社員の成長の機会をサポートするのは会社の役目だと考えている」というものです。コンサルティングという業務上、社員の能力の高さがそのまま仕事に反映されるからとのことでしたが、個人が自らのキャリアを考えるうえで、職場からのサポートを受けられるということはとても望ましいあり方だと思いました。
お話をうかがってみて、やはり、WLBは簡単なものではないと思いましたが、トライアンフはWLBを人びとが働いていくうえで必要なものであると位置付けし、要望を取り入れながらできることを無理のないかたちで着実に進めていっていました。人びとのコミュニケーションがWLBを進めていくキーワードなのかもしれません。
【レポート作成者】
法政大学キャリアデザイン学部 武石恵美子ゼミ3年 篠崎 奈津枝











