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住友商事株式会社(大学生によるワークライフバランス推進企業への取材2009)
~2005年よりワーク・ライフ・バランスに取り組み始め、着実に社内に浸透している住友商事。人事部労務チーム本山ふじかさん、伊藤瑠美さんにお話をうかがいました。~
【企業概要】
| 総合商社。多様な商品・サービスの国内販売、輸出入および三国間取引、国内外における事業投資など、総合力を生かした多角的な事業活動 | ||
| 1919年 | ||
| 単体 4,968人/連結 70,755人 (2009年3月31日時点) | ||
| 男性:18.96年 女性:13.55年 (2009年3月31日時点) | ||
| 30名(2010年1月1日時点) |
【ワーク・ライフ・バランスの取組方針】
―ワーク・ライフ・バランス(以下WLB)を2005年より取り組み始めたとお聞きしました。経営トップの方はどのような考えをお持ちでしたか
当時の中期経営計画(AG PLAN)は成長戦略だったのですが、この成長戦略に即した人材マネジメントの多角的展開の一つとして、ワーク・ライフ・バランス(以下WLB)を新たなコンセプトとして人材マネジメントに取り入れることとし、その取り組みをスタートしました。働き方の変革や女性活躍推進についても、WLB施策の一環として推進しています。
―では、具体的な取り組み状況について教えてください
特徴としては、人事部だけで取り組むのではなく、人事部長をプロジェクトチーム長とし、全社の各部門の代表者で構成される部門横断のプロジェクトチームを組織している点があげられます。WLBポリシーの策定等、コンセプトにかかる議論を深めたり、各現場でのWLB推進状況や、各職場での好事例を共有する機会にもなっており、各職場に合った方法で主体的に取り組んでいる実感があると思います
―そのプロジェクトチームのメンバーはどのような方が参加していらっしゃいますか
最初は、新たなコンセプトを現場に浸透させるための推進力を持ったメンバーとする必要があり、各部門の人事担当にお願いしました。最近では各部門で取り組みが浸透してきたということもあり、人事担当者以外の方も参加しています。
―WLB施策の効果や企業にとっての意義をどのようにお考えでしょうか
2007年の従業員意識調査では、「WLBの取り組みによって、自分自身の仕事と生活のことを考え直した」、「より効率的に働くにはどうしたらいいかを考えるようになった」など、ポジティブな意見が見られました。従業員の働くモチベーションのアップにつながりつつあるのではないかと思います。
企業にとっての意義は、人材のパワーアップにつながることだと思います。中長期的にみても、一人一人の仕事を含めた生活全体の充実や、個々人の成長が会社の活力を生み、企業の新たな価値創造の原動力になります。また、採用でもいい人が集まるなどの相乗効果があります。企業にとって悪いことはないでしょう。
―その意識調査では、社内のどのような反応を知ることができましたか
「WLBの考えが浸透している、推進していくべきである」というのは、ほとんどの人が賛成でした。それに対し、職場の人が実践している、あるいは自分自身が実践しているかとなると、その割合は随分低くなります。2007年現在では、「WLBを推進していくべきだが、実際にはできていない」というのが意識調査の結果でした。2年経ってどう変わっているか、また来年従業員意識調査を実施する予定です。休暇の取得率は上がっているので、以前よりは浸透しているという結果が出ればよいのですが。
【海外に駐在する従業員への対応】
―商社ということで、海外で働く従業員の方もたくさんいらっしゃると思います。そういった従業員の方に対して、WLBに配慮した施策を行っていますか
海外への派遣員の場合、勤務環境やビジネス慣習、生活環境が日本と大きく変わることで精神的ストレスを抱えるケースが多く見られます。日本にいれば、社員はカウンセリングセンターを利用したり、EAPと呼ばれる外部のメンタルヘルス対策のための支援プログラムに電話やメールすることでメンタルに関わる諸問題を相談できます。しかし、海外派遣員に対してはフィジカル面でのケアは充分な体制が取れているものの、メンタルケアについては国内に比べてサポートが十分とはいえなかったため、昨年から海外派遣員に対するメンタルケア体制を段階的に整えてきています。具体的には、昨年2月より海外赴任前研修にメンタルヘルスに関するセミナーを組み入れました。また10月からは、国内勤務者と同様、海外派遣員がカウンセリングセンターやEAPに電話やメールで相談できるサービスを始めました。今後、海外店舗でのメンタルヘルスセミナーの開催なども予定しています。
また、日本では有給休暇は20日間ですが、海外派遣員についてはこれに加え、駐在地の社会環境・生活環境に応じて「特別休暇」を与えています。この休暇を利用して健康診断を受診したり、物資を調達したり、なによりもリフレッシュを図ることでWLBの実現に 繋げています。ただ、海外派遣員の仕事の中には、日本からのお客様を週末に工場にご案内したり自宅も含め会食をしたりすることも多く、休暇取得といっても、一律に取得するのは難しい面があります。業務の繁閑によってはどうしても休めない時期もありますが、休みが取れる時にはきちんと休むよう意識づけを行うようにしています。
さらに、派遣員の皆さんには、できるだけ早く新任地の生活環境やビジネス習慣に慣れて、各人の持ち味や実力を十二分に発揮頂きたいわけですが、そのためには、派遣員に帯同されるご家族によるサポートが非常に重要となります。そのため、当社では派遣員のみならず帯同されるご家族に対するケアにも力を入れています。即ち、派遣員のみならず帯同ご家族の皆さん共々充実した海外生活を送って頂くことが、派遣員にとっての真のWLB 実現につながっていくと考えているのです。
【WLBへの取り組みの考え方】
―WLBに取り組むきっかけや制度導入の背景について教えてください
男女雇用機会均等法の施行以来、基幹職女性の採用を開始し、2004年入社からは全体の2割程度が女性の採用になりました。貴重な人材が、これから結婚・出産を迎え、辞めてしまうということがないよう、女性の継続就業に向けた制度の整備も行いました。
WLBの取り組みを開始した当初の問題点の一つは時間外勤務数が多かったことですが、実は残業が多かった時は、業績が良かったのです。ただし、このまま業績は伸ばしていかなければならないけれども、仕事はたくさんある、この働き方で更に業績を伸ばせるのか、持続的成長に向けた不安もありました。
そうした状況下、仕事をやる時は効率的にやるが、一方で家庭生活も犠牲にすることなく、仕事と家庭をきちんと両立できるような仕組みを会社として作ることが必要と考えられました。
今は経済環境が厳しい状況ではありますが、もちろん今後も継続して取り組みを進めていく方針です。
―施策を行う中で、人事の方は従業員と企業のどちらの目線で行っていますか
両方の目線を持たないとうまくいかないと思います。制度導入の時は、企業や目線をかなり意識しています。一方で制度を導入してからは、いかに利用してもらうか、各職場の環境がわからないと制度は浸透しないので、やはり両方の目線が重要ですね。
どこの企業でもそうだと思いますが、会社に迷惑をかけない・家の事情を持ち込まない職場の風土がずっとあったと思います。そこから急にWLBという取り組みをするにあたっては、そういった人たちに「困っていたら言ってもいいんだよ、会社としてはこういう制度があるんだよ」ということを伝える必要があります。様々な事情を抱えた従業員が仕事で100%の力を出せるように支援できることは何かということを、検討してきています。
【意識・風土作り】
―施策をどのような方法で従業員の方に周知されていますか
2006年にWLBに関する冊子を作って、全従業員に配布しました。また、イントラネットの中でWLBの取り組みの詳細を見ることができたり、制度利用申請用のフォームをダウンロードして使えます。
労働組合も、制度の利用に関して、広報物を用いて従業員に宣伝しています。人事部も必要に応じ、制度について説明会を開催しますが、組合が説明会を開くこともあり、双方が協力して従業員への周知に関わっています。
世の中の変化や法律の改正に伴い、会社の制度も大幅に変わってきました。変更内容に関して、本年春には新しく冊子を作ったり、説明会を開いたりと、継続的に周知を行うことで従業員が正しく理解できるようにしています。
最近では現場からも説明の要請があります。「部下が制度を使うのだけど、よくわからないから説明してくれない?」とのことで、部長や課長などを集めて制度に関する説明会などを実施しています。
―そういった上司の方に対する意識付けのようなことについて詳しくお聞かせください
2008年4月に多くの制度を導入したので、2008年2~3月に各職場から最低管理職1名に出席してもらい、全体で700名程を集めて説明会を行いました。
―従業員の方の声はそういった説明会などの集まりで聞くことが多いですか
そうですね。他には、育児休業から復職した方の座談会を利用したり、個別に直接話を聞いたりします。また、育児休職取得予定者とは必ず面談をしているので、その中でいろいろな話を聞くこともあります
【労働環境基盤の整備】
―お話の中で、残業削減に力を入れて取り組んでこられたように感じました。労働時間短縮の取り組みで工夫した点・苦労した点はありますか
深夜残業は原則禁止しています。夜10時以降は基本的に職場に残ってはいけません。部下が10時以降残業する場合、上司が人事に必ずメールで日々報告してもらっていました(ただし、深夜残業が周知徹底された現在は人事部宛報告は不要)。
だらだらと仕事をしている残業は一番効率が悪く、上司もなぜこの人は残るのか、今日中にやらなくてはいけない仕事は何なのか、頭を整理する必要があります。やはりそれを制度化することによって、意識して残業は必要な時にやるようになりました。現在は各職場で工夫して、その職場に合ったやり方で残業の削減に取り組んでいます。
―部署によって反発はありませんでしたか
商社の業務は非常に多様で、例えば入札をする時は集中的に忙しくなります。そういった部署の人には、初めの頃は残業削減は「絶対無理だよ」と言われましたね。
効率化を進めても時間外を減らせないのだったら人を増やすか業務を削るか決断を迫られました。思い切って減らした業務もあります。また、ある部門では、新人を毎年30人位採用して、人材不足を解消するようにしました。
―その効果は目に見えていますか
先ほどの入札のような特定の時期に業務が集中するような業務の場合は、ある期間限度まで働いてしまったら、業務が落ち着いた後には休んでもらうようにしています。ごく特殊なケースを除いて、ほとんどの部署が平常時の残業時間はだいぶコントロールできるようになりましたね。また、持ち帰り残業は原則禁止して、自宅で仕事をしないようにしています。
―モバイルPCを自宅に持ち帰り仕事をすることは原則禁止ということですが、在宅勤務は行われていますか
基本的にはやっていません。ただし、60歳を超えた方の再雇用として一年の嘱託契約の方がおり、その中に在宅勤務として働いている人が一部います。60歳に満たない人に対しては認めていません。
在宅勤務制度導入の検討をしたことはありました。育児中や介護中の方からニーズはあるかもしれませんが、部署のみんなで集まってコミュニケーションしながら仕事をしようとする雰囲気が当社には根強く、導入については慎重に考えたいと思います。
―それでは、メンタルヘルスについて教えてください
事業所内に人事部所管のカウンセリングセンターがあります。利用者は住友商事の従業員とグループ会社の従業員です。
会社とは少し離れたところに設けられています。会社と離れているので人事部とは関係のない組織に行くという気持ちで相談に行けることが狙いです。相談内容や誰が相談したかは人事部には全く情報が入らないことが特徴で、2005年のオープン以来ずっと相談者に関する守秘義務は固く守られています。初年度から延べ200人以上、昨年度は350人近くの従業員が相談にきています。一般的に会社の中にカウンセリングルームを作ってもほとんど利用者がないケースが多い中で、かなりの成功事例として、いろいろなところで取り上げてもらっています。
職場や仕事に起因するメンタルヘルス関連の相談以外にも、最近では家庭の問題や恋愛問題、個人的な悩みごとなど、どんな事柄でも気軽に相談できる場として認識されていて、快適な職場環境の維持という面以外でも、大変よい効果が出ていると思います。
上司にとっても、自分の部下の様子がおかしいなどの相談ができることも特徴だと思います。会社としては誰が病気になりそうなのかを知っておきたいということはありますが、それ以上に、気軽に相談にいってもらって自分自身で解決してもらうことを重要視しています。誰でもちょっとした悩みはあると思います。ちょっとした悩みであっても、気になって仕事ができない、集中できないこともあるわけで、そうした際に気軽にカウンセリングセンターを使ってリフレッシュして仕事に戻ってもらう仕組みは、こころの健康維持にとても大切だし、必要だと思います。
カウンセリングルーム以外にも、精神科の産業医がうつ病などの病気にかかった従業員のフォローをしています。例えばその人が休職後に職場復帰する際には、復帰してすぐにフルタイムの仕事に就くと、なかなかうまくいかないケースがありますので、始めは時間短縮勤務をしながら様子を見るなどの専門的な対応を産業医にしてもらえるようになっています。人事としても産業医と連携を取りながら慎重に復職をサポートしていきます。
―「マッサージルーム コリトン」という施設があるのですね。どういった施設ですか
導入のきっかけですが、やはりWLBの根底にあるのは心身の健康なので、カウンセリングはこころ、マッサージはからだの健康のためです。もう一つは、そこで働く障害者雇用の促進という側面があります。
稼働率も60%以上で、世間相場より値段が手ごろな上、腕は確かなので評判はかなりよいです。
【WLB関連制度内容】
―御社独自の取り組みや制度を教えてください
2008年に導入した配偶者転勤休職制度です。配偶者が海外転勤のために一緒に渡航することを希望する場合、今までは退職しなければなりませんでした。制度によって、3年以内であれば休職という扱いで、住友商事との雇用関係は保持したまま海外に行ってきてもよいという制度を実施しています。
また、事業所内保育所も設立しました。本社が入っているビルと同じ商業施設の中にあります。元はレストランだった場所を改装して、2008年10月に開園しました。定員は28名、グループ会社の役職員も利用可能です。
―配偶者転勤休職を利用された方はどのくらいいますか
導入から一年以上経って、10名が利用し既に1名が復職しています。予想以上のペースで利用者が増えており、ニーズの高さを感じます。
―では他の制度の利用状況はどうですか
子の看護欠勤は「子ども1人につき年間5日」としています。最近では女性従業員より男性従業員が取るケースが多くなり、利用者が非常に増えています。子が小学校卒業するまで使えるように取得期限を長くしているのも特徴です。
また、短時間勤務制度もニーズがあります。給与の減額なしで利用できるのは3歳までですが、子が小学校に上がってからが大変だという声もあり、小学校卒業まで利用できるようにしています。
―男性の子の看護欠勤利用者が増加しているとのことですが、男性従業員が仕事を休んだ場合のフォローは職場でどのようにしていますか
各職場で工夫していると思います。自ら上司の了解を得て一ヶ月半育児休職した男性がいます。社内セミナーで、育児休職取得のきっかけや周囲の協力やフォロー体制について話してもらいました。
―男性は休職をするなどして仕事を離れる不安の中に、昇進が遅れてしまうという気持ちがあるのではないかと思います。そういう時のフォローは上司の方がされているのですか
現在の制度上、育児休職を理由に昇進が遅れるということはありません。また、管理職になった後は実力次第です。
先ほどお話ししたようにやはりチームで働くので、自分が欠けたら誰かがカバーしてくれるということになります。カバーし合うことが「お互い様」というような雰囲気、体制作りになるといいと考えています。
【職場風土の特徴など】
―住友商事の風土として、仕事が好きな人が多いように感じます。そういった人たちは、WLBに関してどのような反応でしょうか
確かに商社の人は仕事好きな人が多く、WLBについてどう思っているのか人事部としては不安がありました。しかし、「すごくいい会社になったね、自分の実力というのは仕事の時間以外にも蓄えなければいけないよね」という声を聞くことが多くなりました。
若い人は「時間が来たらおしまい、誰かがやってくれる」ことがあたりまえという誤解があるのではという問題意識もあります。時間が限られている中で、個人がどのように責務を全うするかが引き続きの課題だと思います。
―仕事好きな人が多いのですね。有給休暇を取っても、どのような使い方をしたらいいのかわからない従業員の方はいらっしゃいますか
「夏休み100%取得促進キャンペーン」(7~10月に5日間の有給休暇の取得を促進するもの)を実施しましたが、これまで風邪をひいた時しか有給休暇を取らないような人からは戸惑いの声もありましたね。管理職であれば部下が休みやすい雰囲気を作るためにも取得して欲しいという意図もありました。やりたいことがあって休むのか、もしくは休んで仕事から離れてみてわかることもあるかもしれないですよね。まずは形から入るのも一法ということで、長年仕事ばかりしてきたという人にも、休暇を取ってもらうようにしています。
―積極的に上司の方にも休暇を取るように呼びかけていらっしゃるのですか
そうですね。人事部長も積極的に休暇を取っています。部長が積極的に有給休暇を取得するため、部下も休みやすいです。
「夏休み取得100%キャンペーン」のターゲットは管理職であったので、キャンペーン中は進捗状況を連絡したり、社長からもメッセージを送ってもらうなどして、管理職の取得率はかなり上がりました。
当社はメーカーなどと違って、お盆の休みや夏休み(一斉休暇)というものがないんです。自分の手持ちの有給休暇を取得します。休みなくずっと働き続ける状況を続けることはとてもしんどいと思うので、やはりきちんと休める時に休んでほしいですね。
【今後の課題】
―これまでに実施して失敗した施策はありますか
そんなに無理な施策はしてこなかったのでないと思います。保育園が定員28人で、開園前は十分余裕があるだろうと思っていたのですが、2009年12月現在で既に23人が入園、来年の4月までにはいっぱいになってしまいそうです。特に東京・神奈川は待機児童が多いことが問題で、なかなか入園できない現状なので会社の保育園に入園させたい人が多く、私たちもこんなに事業所内保育園にニーズがあるとは思いませんでした。
また、現在、様々な経験を持つシニアの方が、キャリアアドバイザーとして各部門の従業員のキャリア相談を受けていますが、若い女性の相談となると、難しい側面もあるようで、今後女性カウンセラーを設置したらどうかということも検討課題となっています。
―そのシニアのキャリアアドバイザーの方はどういった経緯で導入されたのですか
元々はシニアの一層の活躍のための施策の一環として、海外経験や部長経験のある人にアドバイスをしてもらおうということで始めました。こういった人が部門でアドバイスをしてくれて、話を聞くことができるということで、人事部とも連携してやっています。
―今後の課題はありますか
保育園をいかにうまく運営していくかです。復職したいけれども地元の保育園に入れず、困っているというような方への復職支援策として、子どもを預けることのできる場を提供できるようにしていきたいと考えています
―今後導入したい施策や制度はありますか
海外勤務の方のWLB支援については、休暇の取得促進や、WLB実現につながるフリンジ(福利厚生)制度の導入について検討を進めているところですが、必要な制度は一通り導入されたと思います。2005年からWLBに取り組み始めて、育児休職の取得者も増えてきました。育児休職を取得した従業員は、今はまだ子どもが小さいのですが、これから子どもが小学生になっていくと、保護者会などに行けるような休暇が欲しいとか、いろいろな声が出てくるかもしれません。
介護に関して、短時間勤務をやるなどの取り組みをしてはいますが、育児と違って声が届きにくい、表に出てきにくいところがあります。もしかしたらもっと取り組む必要があるのかもしれません。まずは会社の制度の周知等のセミナーを手厚くやっていくつもりです。
―介護に関してどのような施策がありますか
看護欠勤といって短期間で取れるような欠勤と、介護休職があります。法定よりもかなり長く、介護休職だと1年間休職が可能です。看護欠勤は1事態につき原則30日(特別な事情があれば60日)です。一部給与・賞与の減額がありますが無給扱いにはならないので、取りやすいと思います。
―何名位の方が利用されましたか
介護休職はまだ2名しかいませんが、看護欠勤は年間に1,2日休むという人を含め、かなり増えてきています。
今までは親御さんが余命何カ月と言われて看取りのために休むという人が多かったのですが、現在は短時間勤務を介護で利用する方も出ています。少子化の時代なので、例えば奥さん1人に介護を任せっきりにするのではなく、働きながら介護にも取り組む人も増えてくると思います。
―政府や社会に求めることはありますか
事業所内保育所の助成金が少ないこと。認可保育園には100%助成金がついています。認証保育園は東京都だけですが、助成金が半分程度出ています。
企業内保育所だと、設立費用は半分くらい出るのですが、運営費用は20%も出ないという状態です。せっかく企業が従業員のために保育園を作りたいという気持ちがあっても、コストの面からなかなかできない苦しさがあります。例えば企業内保育園を地元の人も利用できるようにする替わりにもっと助成を厚くするなど、国としてもっとできることはあると思います。
介護に関して、介護の施設は保育園以上に利用できる時間が短いと聞きました。短時間勤務もありますが、定時まで働いても介護できるような延長介護のような仕組みができ、介護と仕事をうまく両立できたらなと思います。
—本日は貴重なお話をありがとうございました
【インタビューを終えて】
最後にお話しいただいた「政府や社会に求めること」のところで、企業内保育園への助成が少ないというお話がありました。住友商事の保育園『トリトンすくすくスクエア』は定員に近い状態であるし、従業員からのニーズも大変高いとうかがいました。企業内に保育園があることは、これから結婚して子どもを持ちたいという従業員にとっても、子どもを抱えながら働いている従業員にとっても仕事と子育てを安心して両立できるとてもよいサポートだと思います。
商社には、介護や育児を行う従業員、海外で働いている従業員など様々な事情を抱えて働く従業員がいます。その事情に合わせて従業員がより仕事に力を発揮できるように、制度を導入したり、柔軟な働き方を提案したりと、人事のお仕事の大変さを知りました。
「業績は上がっているけれど、このままの仕事量と仕事の取り組み方を続けると私たちはどうなってしまうのだろう」と不安になったというお話がとても印象に残りました。働き方と働く意識を見直すきっかけになったのだろうと思います。
インタビューを通して、住友商事では会社と従業員両方のこれからの成長のことを考えて、WLBに取り組んでいるのだと感じました。
【レポート作成者】
法政大学キャリアデザイン学部 武石恵美子ゼミ3年 田野 愛子











