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ゲティンゲ・ジャパン株式会社(大学生によるワークライフバランス推進企業への取材2010)

2010/07/01


ゲティンゲ・ジャパン株式会社

〜休暇取得促進部門で2009年度の「東京ワーク・ライフ・バランス認定企業」に選ばれたゲティンゲ・ジャパン株式会社。管理部 人事総務課の平松由記子様にお話をうかがいました。〜



【企業概要】

事業内容
 各種滅菌器、洗浄(消毒)器、純粋蒸気発生装置、WFI製造装置、ゴム栓洗浄滅菌乾燥器、過酸化水素ガス発生装置などの輸入及び国内販売
設立年
 1998年
従業員数
 正社員35名(男女比=8:2)、非正規社員8名

【WLBの取り組みについて】
―御社が「ワーク・ライフ・バランス(以下「WLB」)」の取り組みを展開する理由を教えてください。
 社員の方が、仕事を頑張るのはありがたいことです。しかし、仕事以外にプライベートの中で自分のためにやってきたことが、仕事に良い影響を与えることがあると思います。たとえば私は、仕事でのコミュニケーションを上手くするために、テレビや本からの情報を参考にしたりします。仕事は忙しいかも知れませんが、心の余裕をもって業務をすることによって、よい仕事につながるのだと思います。
 そして、みんながこの会社にいてよかったと思えるためにはどんなことをしたらいいのかを、日々議論をしていくうちに、WLBに関する推進案が出てきました。  また、弊社の本社がスウェーデンにあることも影響していると思います。スウェーデンでは、休暇が3カ月あるなど、長期休暇が当たり前です。そういった、日本とスウェーデンとのギャップが刺激になっています。

―経営者の方は「WLB」施策についてどういった考えをお持ちですか。
 経営者自身が、従業員が働きやすい環境づくりをすることについての必要性を強く認識しており、会社が従業員に対して、何かできることがないかということを考えています。



【労働時間について】
―労働時間を減らすための取り組みや状況など、具体的な工夫例をお聞かせ下さい。
 以前は、残業時間が月100時間を超える社員がいるなど、長時間労働が問題になっていました。そこで、2006年にマッケ・ゲティンゲ株式会社からの分社化を契機に、フレックスタイム制を導入しました。それにより、以前に比べ、ムダな残業が少なくなりました。
 また、年2回、上司や社長自らが社員と個別にインタビューを行うことにより、社員の状況を把握するように心掛けています。会社も本人もどうやったら業務遂行を効率化することができるのか考えています。その人が本当に業務を迅速に処理しているのか、本人の仕事の進め方に問題がないかなどについて話し合います。それでも業務遂行がうまくいかない場合は、ヒアリングの回数を増やしたり、そこに人を増やしたりしています。
 また、社員の健康管理を目的に時間外労働を把握しています。月の労働時間が70時間以上の時間外労働をしている社員に対しては、産業医の面接指導の忠告、100時間以上の社員に対しては、産業医の面接指導の受診の義務付けを行い、健康管理の重要性についての自覚を促し、長時間残業をしない取り組みを行っています。


【休暇取得について】
―御社は、休暇取得促進部門で「東京ワーク・ライフ・バランス認定企業」を受けていらっしゃいますが、取り組みの前はどのような有給休暇取得の実態にあったのでしょうか。
 以前は、有給休暇取得率が低かったです。その上休日出勤も多かったので、その分の代休が溜まり、有給休暇の取得が後回しになっていて、有給休暇を取得できない現状がありました。

―有給休暇を取得しやすくするための取り組みとしてどのようなことを行っていますか。
 公平に全社員が有給休暇を取得することを目的として、有給休暇取得を会社の規定で義務付けました。会社から有給を必ず取得する時期(7~9月)を指定し、さらに、この期間に、夏季休暇を含めて連続して5日間の休暇を取得することとしています。
 また、会社のルールを取り決める際は、ワーキンググループを結成しています。ワーキンググループでは、休暇取得促進について責任を持って意見を言ってもらう、具体的な取り組みに率先して協力してもらう、ということを目的に組成しています。
 人事だけでこうしたことに取り組むのは難しいので、各拠点にそういった協力者をお願いして、全体の取り組みが効果的に推進されるようにしています。ちなみに去年はコストスリム化のワーキンググループなどがありました。このグループでは、経費削減だけでなく、残業時間も削減してくために何ができるのかを考えていきました。ただし、制度だけでなく、きちんと運用されていることが大事です。うまく運用するためにどうすればよいかを併せて検討しています。

―有給休暇促進の効果はありますか。
 現実には、人によってそれぞれです。取りやすくなったと言う人もいれば、取れる人はいいけど自分は取れない、と言う人もいます。しかし、会社の規定で有給休暇取得を義務付けましたので、今までは「休めない」と諦めていた部分もありますが、「休むためにはどうしたらいいのか」と意識が変化してきているので、私はこの面で効果があったと思っています。
 また、有給休暇を取れない人はどうして取れないのかと洗い出しをしていったら、こういう業務を抱えているからという現状を把握することができました。それにより、「どうしてこの作業をこの部署でやっているのか?」「これは、こっちの部署でやったらどうか」と適切な振り分けができるようになりました。それにより、一人当たりの残業時間の短縮にも繋がり、有給休暇も取りやすくなったと思います。
 働きやすい環境がすべて整ったわけではないのですが、さまざまな取り組みを進める中で、従業員には会社が改善しようとして頑張って取り組んでいることは伝わっていると思います。

―有給休暇の取得促進を行ううえで苦労した点はありますか。
 従業員へのアナウンスが難しかったです。従業員に正しく理解していただくためには、相手がどう思うかを考え、どうやって話をしていくのが効果的かを考えました。その人たちにもメリットがないと動かないので、社長にとって、管理職にとってのメリットはなんなのかを考えて、「あなたにとってはこうした方がいいのではないか?」「それには休暇促進はどうですか?」など、具体的な状況に落とし込んでいく点に工夫をしました。

―御社には、看護休暇や病気休暇などもありますが、利用状況などはどうでしょうか。
 育児休暇も看護休暇も今のところ取得をした社員は1名のみです。大手企業でしたら、業務が細分化されていて、取りやすいとは思いますが、弊社では、育児休業については社員の間でも認知されているので問題はありませんが、社員の関心が高くない「看護」をするために休暇を取るということは、まだ難しい面があります。


【キャリア支援の取り組みについて】
―そのほかに御社で社員の方のために取り組んでいることがありましたら、教えてください。
 スキルアップ支援制度として、語学トレーニングやEラーニング、大学での研修プログラム、管理者育成プログラム、各特殊技能の資格取得などを設けています。これらは、ビジネススキルの向上を促進することと、意欲のある人には、学べる環境をできるだけ設けていきたいと思っています。特に、グローバルな舞台でも恥じないための実践的な英語力の向上のため、全社をあげてトレーニングに力を入れております。

―社員の方々の反応はどうですか。
 会社がこういう風に支援をしてくれるのは嬉しいという声もありました。しかし、会社主導で進めているので、自分から変えたいというモチベーションにもっていくことが大切だと考えています。 まだ始めたばかりの取り組みなので、これから何回も修正していき、うまく運用していきたいです。


【今後の課題など】
―WLBを推進するにあたり、政府や社会に求めることは何かありますか。
 ハローワークさんに求職者のケアを頑張ってもらいたいです。企業と求職者との架け橋となってもらいたいです。
 様々な助成金に関しても、きちんとわかりやすくして、説明をもっと明確にしないと、せっかく制度はあるけど利用できていない現状があります。

―今後の取り組みについて課題はありますか。
 私は来年を「トレーニングの年」と考えています。上司や部下とのコミュニケーションがうまくいっていないと、無駄な業務が増えるなど仕事に悪影響を与えます。そのためには、自分だけが理解するのではなく、相手を思いやって指導し、相手にきちんと理解してもらうことが大事だと思っています。そこには、働き方や休暇に対する考え方も大事なのだと考え、そのことも含め、管理職の方にトレーニングをしていきたいです。
 また、勤務体系をもう一度見直したいです。フレックス制度以外にも、多様な働き方の選択肢を考えないといけないと思っています。フレックス制度を導入して全体的に残業が少なくなったとしても、残業の多い技術職など、特定の人の残業時間を減らさなければならない問題があるからです。どうしたらいいのかは、ワーキンググループを作っていって、もう1回各部署での問題を挙げていきながら検討を進めるということを考えています。
 そして、今ある制度をいかに運用していくか、何回も修正を重ねていって、いいものをつくりあげていきたいです。


—本日は貴重なお話をありがとうございました。

【インタビューを終えて】
 今回、インタビューを受けてくださった平松様は、有給休暇取得率が低かった頃から、積極的に働き方の見直しを行い、会社の風土を変えてきました。しかし、それはトップの社長がワーク・ライフ・バランスに対して前向きな考えを持っていたからこそ、できたとおっしゃっていました。もし社長の関心がなかったら、ここまで辿りつくことはできなかったということです。やはり、会社と従業員にとってのWLB意義に対する理解が欠かせません。
 また、会社の中で制度だけが先行して整備されていっても意味がありません。導入した制度を効率的に運用するためには、社長をはじめ、社員の方々の理解が必要なことを改めて知ることができました。
 今回、ゲティンゲ・ジャパン株式会社にインタビューを行ったことで、多くのことを学ぶことができました。ありがとうございました。


【レポート作成者】  法政大学キャリアデザイン学部 武石恵美子ゼミ3年 柴田 貴実

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